アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
束縛_3
-
無意識にしがみついていた。
優也さんの背中を抱えているような感覚。
誰が見ても、抱きすくめられている。と言うんだろうけど。
自分の腕の中に大切な人がいて、その人の腕の中に自分がいる。
不思議なほど安心する空間。
「聞いたところで、愁を解放してやれる訳じゃない。愁がそんなに隠したいなら知らないフリをしていたっていい…」
知らないフリなんてできるんだろうか。
所詮は過去の事と割り切れるほど僕は成長できていないのを昨夜、思い知った。
だから恐怖を抱えたまま生活してきた。
普通でいる事に憧れて、あばかれないように、目立たないように。
息をひそめて。
これまでのように。
これからもそうしていくつもりだった。
それなのに、希望を与えられてしまった。
見続ける事のできない夢を見てしまった。
「言いたくない理由は何だ。」
ふいに視界が揺れて、ぼろぼろと堪えられなかった涙がタイルに落ちて弾けるのが見える。
理由なんて1つしかない。
「…嫌われたく、ないっ、から。」
昨日から泣いてばかりだ。
情けない。
無言のままバスタオルで包まれて、顔を拭われて
タオルを巻いただけの優也さんが強引に僕の手を引いていく。
「優也さん?」
寝室に入った途端に押し倒された。
真上からのしかかられて片手で肩を沈み込ませるみたいにベッドに押し付けられる。
反対の手でサイドボードの引き出しを開けて何かを取り出す。
カシャン
「な、なんですか?」
ひんやりした感触が手首を包んで固定された事に気付く。
「俺の執着がどんな物なのか、わからないみたいだな。どんな過去があろうと手放すつもりなんかないってわからせてやる」
首を上げて腕を見ると銀色の鎖みたいな物がベットと手首に巻きついている。
これは、手錠?
「ゆ、優也さん…?怒ったんですか?痛いのは、イヤですよ…」
消えそうな僕の問いかけに唇だけで笑うと、覆い被さってきた。
「怒らせてると思うなら何があったのか話せ。話すつもりがないなら大人しくしていればいい。」
耳元で囁く声が甘くて、それだけで腰がくだけそうになる。
「痛い思いさせた事なんてなかっただろう?」
ゾクリ
背筋が粟立つような声でそう言った優也さんは、ぺろりと舌なめずりをした。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
105 / 155