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無言のままの速見の後を着いていくと、立ち入り禁止と書かれた屋上の扉の前まで来た。
扉には鍵が掛かっているようで、どうするのかと立ち止まって見ていたら、
ベキッ!!と派手な音を立てて、ドアノブがへし折られた。
おいおい、素手でドアノブ折るか普通。
呆気に取られる俺を気にも止めずに、鍵が壊れて開きっぱなしな状態になった扉を押し開けて速見は屋上へ入って行った。
今更だか、かなり帰りたい。立ち入り禁止の屋上じゃ、もし何かあっても誰も助けに来てくれないかもしれない。まぁ、喧嘩吹っ掛けられたなら勝てばいいんだけど・・・
速見に続いて入った屋上は、拓けて風が気持ち良かった。こんな時に思うことじゃないが、なかなかいい場所だな。
そんな屋上の真ん中に立つ速見へ、視線を向けると、速見はこちらを向いてただ黙って俺を睨みつけていた。
よく睨む男だ。俺の顔なんて見てても飽きるだろ。
「お前さ、前々から気になってたんだけど」
「何」
ほぼ初めて聴くような気がする速見の声は、以外に落ち着いた声で、喧嘩も覚悟で来た俺からすれば少し拍子抜けした。
そして、次に速見の口から出た言葉に、さらに拍子抜けした。
「お前のさ、弁当、手作りなわけ?」
「は?」
なんだ?弁当?
なんでこいつが俺の弁当事情を知っているんだ。
「すげー美味そうなやつ。あれ作ってるの、お前だよな」
「・・・」
なんで、こいつがそれを知っているんだよ。
確かに、俺の弁当は毎日手作りだ。
毎朝、俺が早起きして作っているものだ。だけど、それを今まで誰にも話したことはない。
クラスメイトにも仲の良い友達にも、「母が作った」と言っているし、弁当を作っていることを知っているのは母親くらいだ。
それを何で
「何で知ってんだ?」
秘密なんて大袈裟なものじゃない。だが、知られて嬉しいものじゃない。
俺は速見を睨みつけた。
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