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睨む俺を鼻で笑うと、ニヤリとして見返す。
「やっぱりな。そうだと思った」
「なんで知ってんだって聞いてんだよ」
「別に、気付いた」
「は?」
気付いた?
何言ってんだ。俺の何を見て気付いたっていうんだ。
弁当を見たから?それで母親が作ったか俺が作ったか気づくのか?
自慢じゃないが、俺はそれなりに料理が上手い。だから、弁当は母親が作ったと言って疑う人間は誰もいないし「母親か料理上手で羨ましい」と言われる。
誰も、俺が作っただなんて思う人間はいないはずだ。
「何・・・隠してたの?弁当を自分で作ったって」
そうだ。
隠していた。
だって、
『男がオママゴトとかありえねー!』
『きめーんだよ!おんな男!』
『やーいやーい!おーんな!おーんな!』
・・・いやな記憶がフラッシュバックして、嫌な気分が胃の辺りにせり上がってくる。
黙ったままの俺を見て、速見は何を思ったのか、俺の胸倉を掴んで引き寄せてきた。
力一杯引き寄せられ、体制を崩して反撃する手が出なかった。
視界いっぱいに映る速見の勝ち誇ったような笑顔が腹立たしい。
「じゃあ俺は、お前の弱みを握ったってわけだな」
「・・・」
弱みなんて大それたもんじゃない。だけど、他人に知られたくないのは確かだ。
俺は黙って俯くことしか出来ない。
「じゃあさ、お前・・・」
胸倉を掴まれたまま、速見が耳元に唇を寄せる。
耳にかかる息に肩を竦ませると、
「今日から俺の女になれよ」
「・・・は?」
信じられない言葉が、囁きかけられた。
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