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「じゃあとりあえず、明日俺の分の弁当作って来てよ」
なんて言い残し、呆然とした俺を置き去りにして速見はさっさと屋上から去って行った。
「な・・・なんなんだアイツ!?」
速見が去って行ってしばらくして、俺は頭を抱えて叫んだ。
なんだよ『俺の女』って!!俺は男だぞ!?しかも弁当作って来いだなんて何様なんだ・・・
視線を感じていた時から変な奴だと思っていたけど、まさかここまで変な奴だったなんて・・・
屋上で一人、しばらく考え込んでいたが、ここにいても仕方が無い。とりあえず教室に帰ろうと、屋上の階段を降りていくと、友達の橘と鉢合った。
橘は俺を見た瞬間目を丸めて肩に掴みかかってきた。
「優心!お前、大丈夫だったのか?速見に連れて行かれたって聞いたから、俺心配で探してたんだよ!?」
「あー、まぁ・・・なんとかへーき」
本当はあんまり平気ではないんだが、橘には心配かけたくないし、ヘラヘラと笑って見せる。
「何があったんだ?怪我は?何もされなかったか?」
「何もねーって、心配すんな」
心配そうに見る橘を誤魔化すために必死に笑っていると、次の授業の予鈴が鳴った。
あ、弁当食いそびれたじゃねーか・・・今日のは自信作だったのに
ふと、橘に疑問をぶつけてみた。
「なぁ橘・・・お前、俺の弁当さ、いつも俺が作ってるって言ったらどうする?」
「は!?あのめちゃくちゃ美味そうなやつお前が作ってんの!?すごい!!」
「いや、例えばだよ」
「あぁ、なんだ・・・いや、フツーにスゲェなって思うよ。意外だなって」
「ふーん。そっか」
まぁ、普通は、男子高校生が弁当作ってるなんて聞いたら驚し、信じられないよな。
別に、今時男が料理するなんて珍しくはないけど、だからってありふれている訳でもない。
じゃあ、何で速見は俺の弁当に気付いた?
『女』とかどうとかより、そっちの方が気になる。
「・・・まぁとにかく、明日だな」
「ん?何が?」
「いや別に、さっさと教室戻ろうぜ」
ちまちま悩むのはしょうに合わない。
どーせ嫌でも明日は来るし、明日になれば速見には会わなきゃならないんだ。
さっきの出来事を振り払うように、俺は教室に向かって駆け出した。
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