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俺の母
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母は、俺の憧れだった。
いつも笑顔で、優しくて、美味しい料理を魔法みたいに作る母が大好きで、
「ボク、ママみたいになりたい!」
幼い頃の口癖だったと、母は懐かしそうに語っていた。
その頃から随分道を外れた俺だけど、今でも母が好きな事は変わりがない。
マザコン上等。母親を大切にしない男は誰であろうとクズだ。
・・・俺も、そのクズなんだが。
「おはよう」
「はよー!」
教室に入るなり、俺はすぐに鞄を机の横に下げた。重かった。
「なぁなぁ、お前さ昨日速見に何されたんだ?」
昨日から何度もこの質問をされる。
そりゃ平々凡々な一般生徒が不良に絡まれたらみんなの話題になっても仕方ないんだろうが、正直かなり面倒臭い。
「別に何もねーよ」
頭を掻きながら気だるさを隠さずに言うと、ブーイングが起こった。
やめてくれ。絡むな。イライラする。
俺の事なんて知ったって意味無いだろーが。
「つかさ、昨日の地理の宿題さ、提出日いつ?」
「え?金曜日じゃね?」
「あれ?来週じゃなかったっけ?」
テキトーに話題を逸らして、俺を囲みながら俺を無視して勝手に話し始める奴らから目を離して、窓の外を見る。
窓の外からは、昨日速見と話した屋上が見える。
その先にある真っ青な空を見ながら息を吐く。
くだらない刺激のない平穏ーーーこれでいいんだ。
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