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お味はいかが
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待っていたような、来なくていいと思っていたような、昼休みの時間が来た。
授業終了のチャイムと共に鞄を持って廊下に出る。速見が俺の教室に来る前に、先に俺が速見の所に行くためだ。
また速見が俺に会いに来たのを見られたらクラスメイトで絡まれる。出来るだけ面倒は避けたい。
そう思いながら速見のクラスに向かっていた。だが
「あ、」
「・・・」
速見と鉢合った。
「よお。ちゃんと作ってきた?」
「一応」
「へぇ」
特に会話を続ける気もない。
短く相槌だけ打つと、大股に歩き始めた速見の後ろを着いて歩いた。
行き先はまたあの屋上らしい。
「弁当、渡すから一人で行けよ」
「あ?馬鹿か。一緒に食うんだよ」
「・・・」
何が悲しくて、不良と一緒に飯食わなきゃならないんだ。
せっかく作った弁当が不味くなりそうだと、速見に気付かれないようにため息を吐きながら黙って速見の後ろを歩く。
屋上の前の扉まで来ると、再びベキッと派手な音を立ててドアノブが折られた。
昨日帰るときに気付いたんだが、このドアノブは元々壊れていたらしい。だから正確には速見が折っているわけじゃないんだが、見た目がどうしても折っているように見える。
速見に続き屋上へ入ると、清々しい風に吹かれて髪が揺れた。綺麗な青空が近く見える。
一緒にいるのが速見じゃないなら、最高なんだけどな。
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