アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
「うっわ!うまそう!」
嬉しそうに弁当を開ける速見の横顔を見ると、こっちまで笑顔が移っしまうようだった。
「へへっ、だろ?早く食えよ」
「おう。いただきます」
速見は丁寧に両手を合わせ合唱すると、真っ先に唐揚げに箸を伸ばした。
「ん!うめぇ!」
「そっか!よかったよかった!」
昨日、帰ってすぐ味付けして寝かせておいてよかった。
速見の反応に満足して、俺も弁当に箸を付ける。
速見は弁当を食べながらずっと、「うまいうまい」と繰り返していて、それがめちゃくちゃ嬉しくもあり、少し気恥ずかしくもあった。
「速見、唐揚げ好きなんだな」
「唐揚げっつか、揚げ物好きなんだよなぁ」
「へぇ。揚げ物苦手な奴って結構多いけどな」
「あー、唐揚げの衣取って食うやつ?ああいう奴らとは仲良くなれない気がする」
「確かに!」
昨日のこの時間からすれば、考えられないくらいペラペラ喋る。
見た目とは裏腹に優しい速見の態度のせいかもしれないけれど、話せば話すほど、一緒に居れば居るほど、速見と同じ時間を過ごすのが楽しくなる。
「なぁ、今日も一緒に帰らね?」
「あぁ、いーけど・・・」
と、言いかけてやめる。
せっかくの速見からの誘いだったけど、今日は無理だった。
「あー、わり、今日バイトだったから無理だわ」
「は?んだよ。つまんねー」
誘いを断った申し訳なさよりも、『つまらない』と言ってくれたことが変に引っかかって、ジワジワ嬉しくなる。
言葉のあやかもしれないが、一緒にいないことを『つまらない』と思ってくれるのが、なんだが擽ったい。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 73