アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
楽しいだけじゃ
-
そんな気恥ずかしくも嫌じゃない時間は、無情な予鈴の音で終わりが告げられ、名残惜しさを覚えながらも指先は離れていった。
「今日、バイト先まで送ろうか?」
「別にいいよ・・・近くのコンビニだし」
「あっそう」
"じゃあバイバイ"なんて手を振りながら、速見を置いて屋上からの階段を降りる。
じわりじわりと、触れた唇から速見の感触を思い出して顔が熱くなる。
あー、本当に速見と一緒にいると、ヤバイ。
いや、一緒にいなくたってヤバイ。
自然に気分は高まるし、顔が自然にニヤける。
胸が高鳴って、でも時々締め付けられるみたいな痛みがある。でも、嫌じゃない。
でも、だけど、一緒にいることは楽しいけれど、速見に対して完全に信頼したわけじゃない。
口には出さない疑問がいくつもある。
女の意味も実際はよくわからないし、なんで弁当の事を気付いたのかも、気付いて何で俺に近づいたのかも、
速見については何も知らない。
「・・・少し、調べるか」
速見の出会って3日。
もはや捨てたも同然なあの平穏な日常に未練はある。
ーーー速見の目的次第では、俺が速見から離れるのは時間の問題だ
気だるく首をゴキッと鳴らして、俺は歩みを止めずに教室へと向かった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
30 / 73