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三國という男
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放課後。バイトまでの時間には少し猶予がある。
俺は、橘のいる隣のクラスへ顔を出した。
「橘、悪い。三國いるか?」
橘は俺を見るとクリっと首を傾げて「ミクちゃん?」と不思議そうな顔をした。
三國は、速見ほどじゃないが学校内での素行が悪い生徒だ。
なかなかに愛想が悪く口調も乱暴なために、俺と馬が合わない男ではあるが、それでも訪ねた理由は速見について何か知っているんじゃないかと思ったからだ。
「珍しいね。優心がミクちゃんに用だなんて」
「まぁ、ちょっとな」
速見並の素行の悪い生徒に対して「ミクちゃん」なんて呼び方をしている生徒は橘だけだ。
三國と仲がいい橘を味方につければ、三國から情報が聞き出せるんじゃないかと踏んだのだが、「ミクちゃーん!ミクちゃんにお客さんだよー!」とデカイ声で呼ばれて教室の奥からコチラを向いた三國は、遠目でも解るほどに苛立っていた。
「チッ」
盛大な舌打ちと共に、ヅカヅカと大股で歩み寄ってきた三國は、真っ先に橘の脚を蹴りあげた。
「いった!なにすんの!?」
「その呼び方すんなっつってんだろ」
ああ、やっぱり『ミクちゃん』呼びは気に食わなかったのか。なんて思っていたら、今度は俺の方を睨んできた。
「何か用か」
『さっさと済ませろ』と言わんばかりの目付きにイラッとする。
けど、今は苛立って言い返す立場ではないから、ワザとらしくヘラっとして首を竦めた。
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