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想い人
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コンビニでのバイト中、全く集中できないせいで店長に怒られてしまった。
「・・・はぁ」
原因は、やはり速見だ。
速見と一緒にいるのは好きだ。速見のことも好きだ。
だけど、速見の目的も理由も何もわからない。
それに、三國が言っていた『お前の昔を知っているんじゃないか』という言葉が引っかかっている。
ーーー昔、ねぇ。
もし、仮に速見が俺の過去を知っているとしたら、『女』という発言に合点がいく。
でも、それにしたって疑問の解決にはならない。
「・・・はぁ」
バイト中の何度目かのため息をついた時。
「おい南、今日はもう帰れ」
「えっ」
声をかけたのは店長だった。
「何か今日、調子悪そうじゃん。もう客少ないし、帰れば?」
「いや、でも・・・」
「今日は俺もほかの奴らも出てきてるから、人は足りてるし。お前は頑張り過ぎなんだよ」
『ほら、帰った帰った』と背中を押され、渋々帰ることにする。
けど、正直かなり有難い。
店長と他のバイトたちに深く頭を下げて身支度を整える。
時計を見れば、もうすぐ7時だった。
それにしても、今日は本当に客が少なかったな。
うちの店の周辺は、ビジネス街や学校があるから、このくらいの時間は仕事終わりのサラリーマンや部活帰り学生が多く来る筈なのに
コンビニの制服から着替え終わると 、裏口から外に出る。
頬に抜ける風は冷たくて、秋から冬が近付くのを感じる。
「おい」
コンビニの正面に回ったところで、どこかで聴いた声がかかる。
俯いた顔を上げて、驚いた。
「速見!?」
コンビニの壁にもたれるようにして立っていたのは、学生服姿のままの速見だった。
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