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「おつかれ」
「あ、あぁ、おつかれ・・・って、何でいるんだよ!?」
慌てて速見に駆け寄る。
夜になって気温が下がっているせいで、鼻まで真っ赤になっているし、体も僅かに震えている気がする。
・・・どんだけ待ってたんだよ。
「・・・たまたま通りかかって、それで、・・・せっかくだから一緒に帰りてーなーと思って、待ってた」
「馬鹿か。バイト何時に終わるかも知らない癖に待ってる奴がいるか。つか、来てたならコンビニの中で待てばいいだろ」
たまたま通りかかったって、学生服のままってことは、学校が終わってから家にも帰らず、ずっと外で待ってたって事だよな。
「・・・馬鹿」
速見の頬を指先でなぞると、そこはすっかり冷えきっていて、こんなふうになるまで待たせた事が胸に痛んだ。
「待ってろ」
「えっ、おい」
一度速見を置いて、走ってコンビニの中へ戻り、ホットココアとコーヒーを引っ掴むとさっさと会計して、速見のところへ帰る。
「やる」
「えっ。いや、でも」
「いいから、持ってろ」
ポケットに突っ込んでいた手を引っ張り出し、その冷えた手にホットココアをカイロ代わりに握らせた。
「ありがと」
「・・・」
礼を言わなきゃならないのは、いや、謝らなきゃいけないのは俺だ。
知らなかったとはいえ、こんな寒い中に速見を待たせてしまった。
ぎゅうっと締め付けられる胸が痛い。
「ごめん、待たせて」
「い、いやっ!俺が勝手に待ってただけだし、謝るなよ」
申し訳なくて、目も合わせられずに俯く俺を慰めるように、速見は俺の顔を覗き込んだ。
「それに、ほら・・・お前は俺の女なんだから、女を家に送ってやるのは男の役目だろ?」
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