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「その、・・・やっぱり、俺らもう少し距離置いた方がいいのかな、とか考えて」
「あ?」
いきなり何を言い出すんだと眉をひそめたが、速見が言いたいのはさっきの休み時間の橘や三國たちの話を思い出してのことだろう。
その時はなんでもない風に装って話を流したが、やはり速見も心に引っかかっていたのか。
「・・・でも、離れるなんて考えられない。そうだろ?」
「あぁ、もちろんだ。だけど、」
"だけど、"と言葉を詰まらせたまま、速見は押し黙ってしまった。
速見は口下手だ。
特に、頭の中で考え過ぎているときは、考えが整理出来ないで黙り込んでしまう。
そんな速見から言葉を引き出すことが出来ない自分に対して、苛立ちすら覚える。だが、それは絶対に表に出しちゃいけない。
ここで俺が苛立ちを露にすれば、速見はさらに自分の意見を口にするのを躊躇うだろう。
だから俺は、
「なに?」
優しく、暖かく、まるで母が子にそうするように、速見の手に自分の手を添えて、速見の言葉を促した。
「・・・、俺」
そうすれば、速見は少しだけ言葉を露にする。
「俺の、せいで・・・お前がクラスで孤立してて、でもそうしたらお前は俺と一緒にいる時間が増えて嬉しい。けど、お前がひとりになるのを見るのは、嫌だ」
まだ意見をまとめきれていない速見から零れる言葉は拙い。
時には言いたいことが理解できない時もある。でも、それでも俺は速見の言葉に耳を傾ける。
ーーー速見の事が、知りたいからだ。
「俺はひとりじゃないよ。速見がいる。橘も三國もいる」
「・・・」
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