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俯いて黙っていると、しばらくして拓海の大きな溜め息が聞こえてきた。
「今日、リサと出かけて、最後にリサの家に寄った」
呟くような小さな声ではあったが、拓海がようやく話し始めたのだ。
その声にゆっくりと顔を上げると、拓海はソファーにだらしなく凭れかかって視線を宙に浮かせている。
今日の出来事を回想しているように見えるその姿をジッと見つめて、拓海の声に耳を傾けた。
「いつもみたくリサの部屋に入ってじゃれてたら、あの匂いが鼻を掠めた」
「……あの匂い?」
口を開くつもりはなかったのに、思わず出てしまった疑問に拓海が視線を合わせてきた。
「お前のつけてた匂い。アイツもたまたま持ってたんだ、同じヤツ」
「そっか」
話の腰を折ってまた怒られるかも、と構えていたのに、拓海が怒鳴る事なく淡々と答えてくれて、若干拍子抜けする。
「興奮していい感じになると思って、あのクリームをリサの体に塗りたくった。でも……駄目だった。むしろ吐き気がした」
「え?」
嘘だろ?
あの時、俺相手でさえハーハー息荒くしてたのに……。
「リサって人の持ってたクリームって、もしかして類似品とかじゃないか?」
そうだ、きっとそうだ。
桜の香りのするクリームなんて、探せばいくらでもあるはずだし、メーカーが違えば香りも違って当然だ。
「いいや、同じだった」
「本当に?」
「間違いない。金曜日にお前が持って来たヤツと同じだった。ってか、あんな形のケース、他にないだろ。間違える方がおかしい」
確かに、あのクリームのケース、形は特徴的ではあるけれど……。
じゃあ、何で吐き気がする程不快になったんだよ。
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