アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
ちょっとした話
-
朝7時45分。
鳴り響くアラームで俺は目を覚ます。
なんだかんだいって、体育祭が終わってから1ヶ月が経った。
時間が経つのは意外と早いなっと思いつつ、学校の準備を始める。
夏も過ぎ秋になり冬も近い。
冬服への衣替えも始まるこの時期。
長袖のワイシャツ1枚だと寒いだろなぁと思い、ワイシャツの上にいつも通りパーカーに袖を通す。
着替え終わると洗面所に行き、顔を洗う。
体育祭の一件以来、髪も染めず眼帯もしていない。
歯磨きをする為に少し伸び過ぎてしまった髪が邪魔だと思い後ろで1つにしばる。
歯ブラシに歯磨き粉をつけて、口に咥え、リビングの方に向かう。
なんとなしにテレビのリモコンに手を伸ばし、電源をいれる。
ソファに座り、シュコシュコと歯を磨きながら、ぼーっとテレビを眺める。
テレビ「次のニュースです。大手企業会社美空島のトップである美空島瑠飛会長が今朝、4年後に引退する事を表明しました」
4年後ってまだ先長くない?
明日とかならまだしも…
テレビ「跡継ぎにつきましては一人息子である美空島蘭羽に一任するとの事です。次に……」
俺は歯を磨いていた手を思わず、止めてしまった。
美空島蘭羽…
それは紛れもなく自分の名前。
自分が継がないといけない事は薄々分かってはいるつもりだった…
だけど、こんなにもはっきり言われるとは思わなかった。
あの時…俺があの家に連れ戻される前に流れていた行方不明だっていうニュースは多分、一度家に連れ戻すぞっていう意味だったのかもしれない。
だって、あの美空島が俺一人捜すのなんて容易いもんでしょ?
きっと、俺がここにいる事も氷見さんのバーでバイトをしていた事も多分あの人は全部知ってる。
あの時、俺を家に連れて行ったのだってただ顔を見るが為なのだって俺は知ってた。
じゃなきゃ、俺はここには居ないから。
もし、俺を監禁って訳じゃないけどするとしたら、手枷や足枷だってもっと丈夫な物をつけられてたはずだし、あんな分かりやすい所にピンなんて置いてない。
それに逃走経路を知っているあの家には連れて行かないと思う。
別荘なんていくらでもある。
なんなら自家用ジェットだってあるんだから海外に連れて行かれててもおかしくはない。
多分、一番最初にあの家から逃げ出した時だってわざと俺を逃がしたんだと思う。
もし、氷見さんが頼まれてあそこに俺おいていたとしたなら…
もし、理事長が頼まれて俺をこの学園に入れたのならば…
そう考えるとよく分かる。
あの人はきっと…美空島瑠飛はただ俺を思って…
ピーンポーン♪
なんの前触れもなく、部屋の中にインターホンの音が鳴り響く。
ふと、テレビの時計を見ると8時ピッタリだった。
やばっ!
俺はテレビを消すと、洗面所に向かいうがいをして荷物を持ち部屋の外に行く。
ドアを開けると…
実「亜芦、おはようさんwなんか、バタバタしとったけど寝坊でもしたん?w」
いつものように話しかけてくる。
亜「…おはよ。ちょっとぼーっとしてただけ」
徠「おっはよー、そー君☆」
相変わらず☆がうざい。
亜「…イク、朝からうるさい」
徠「えぇ!?☆」
ホントにうるさい…
柚「おはよう、そー君。その髪型で行くの?w」
あ、髪の毛外してない。
亜「…忘れてた」
俺は髪の毛を解く。
実「さて、全員揃ったし、ほな行こうかw」
柚「だねw」
徠「あぁ、学校面倒臭いぃぃ☆」
柚「イク、うるさいよw」
実「せやでw朝なんやからもう少し静かにしてやw」
徠「二人共その言い方は酷くない!?☆」
柚「普通でしょ?w」
実「普通やなw」
徠「もー☆」
こんな他愛もない会話が聞けているのも、俺が今ここにいるのもあの人のおかげなのかな…
実「亜芦?大丈夫か?」
亜「…あ、うん。平気、眠いだけ」
実「さよかw」
にっこりと笑い俺の頭を撫でてくる、実哉。
俺が今、実哉と出会えている事があの人のおかげだというならば…
俺は…美空島の跡継ぎになるの悪くないなと思った。
4年後…それは多分、それまでに答えを決めろって事かもしれない…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
210 / 246