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最悪だ。
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今の俺の場所は舞台上。
何百人もの人の目がこちらを見ている。
まぁ、見られてるのは俺だけじゃないけどね。
そんな中俺は舞台下でフリップを持っている人の指示に従ってあっちこっちしゃがんだり座ったりジャンプしたり、謎のポーズとらされたり…
男女両方の生徒会の人達、台詞をいいつつビシッと決めるのに対して、俺は無言。
ある程度、どういう流れなのか分かったけど…
何やらされてるんだろう感が半端ない。
女子の生徒会の人達は男装して王子さま風な感じ?
みんな綺麗な人で男の人って言われても違和感がない。
男子の生徒会の人達も同様に王子さま風な感じの格好をしている。
そして、唯一お姫様であろう格好をさせられた俺を女子と男子の生徒会で取り合うみたいな謎の物語?
物語っていうかダンスしたりしてるせいでダンスバトルでも見てる気分。
次何するんだろうと思いフリップを見る。
[なんか、適当に曲流すから踊って]
………。
いや、ふざけてるの?
いや、アホなの?
そんな即興で出来る訳ないじゃん?
舞台にいた人達は、はけて行って舞台の上には俺一人。
もちろん、みんなの目は俺一人に向く。
俺は目のやり場に困り、舞台袖にいた男子の副会長と目があった。
胡「これちゃん踊ったら、好きなだけケーキ食べていいよ?」
ニコリと笑い俺に聞こえる声の大きさで告げてくる。
よし、頑張ろ!
感とノリでどうにかする!
曲が流れ始める。
あ、これ聞いた事あるやつだ…
昔、母さんが家でよくこの曲を流しながら踊ってた。
踊るっていうより舞いだったけどね。
その時に母さんに教えてもらいながら一緒に踊った。
はっきりとは覚えてないけど記憶がある。
ほんとに感とノリになっちゃったよ。
曲を聴けば体が勝手に動く。
懐かしい。
あの頃に戻った気分になる。
懐かしいのに悲しい。
何故か視界がボヤケて不明瞭になる。
もう訳わかんないや…
体は曲にノリ踊り続ける。
ただ1つ思う事がある。
実哉に会いたい。
実哉の顔が見たい。
実哉に今すぐにでも抱き着きたい。
何故そう思ったのかは分からない。
知らぬ間に曲は終わっていて、お辞儀をして、舞台袖に戻る。
そこからの記憶は正直ほとんどなくて、いつの間にか気付いたら舞台は終わっていた。
再び、生徒会室に戻った。
麻「はい、これ制服」
華「奥にシャワー室あるからシャワーで化粧とか落としてきていいよ」
亜「…うん」
双子書記に制服とタオルを渡され、シャワー室に向かう。
化粧を落とし汗を流す。
シャワー室を出て、着替える。
ふと、近くにあった鏡を見る。
化粧もしてなくて、髪も巻いてなくて、ドレスも着ていない、いつもの自分。
いつもの自分のはずなのに何かが違う。
何が違うのかもわからない。
モヤモヤする…
亜「…クシュッ」
くしゃみが出た。
………。
生徒会の皆がいるところに戻る。
雅「あ、戻ってきた」
麻・華「おかえりー」
亜「…ただいま?」
胡「ケーキ好きなだけ食べてどうぞ」
休憩用の机には色んな種類のケーキが置かれていた。
普通に美味しそう。
既に会長はソファーに腰かけて食べていた。
会長の横に副会長が座っている。
俺はその二人に対面したソファーに腰かける。
はいどうぞっと副会長にチョコケーキののったお皿を渡される。
亜「…ありがと」
俺は礼を言い、受け取る。
雅「ちょっと失礼」
亜「…?」
シャワーを浴びたせいで濡れてびしょびしょになった為に1つに括りあげていた髪の毛を会計に解かれる。
そして、そのままドライヤーで乾かし始めた。
んー、まぁ、いっか。
俺は気にせず、ケーキを食べる。
美味しい!!!
ケーキを好きなだけ食べ、髪の毛も乾いた所で俺は生徒会室から廊下に出た。
なんか、クラクラして目の前がぐるぐるする。
亜「…クシュッ…ゲホッゲホッ」
くしゃみが出て咳が出る。
そのまま壁にもたれかかりズルズルとその場に座り込む。
変に張り詰めた場所にいたから気が抜けたのかな…
ものすごく体調が悪い。
俺は壁に寄っかかりつつも立ち上がる。
とりあえず、自分の教室目指すか。
壁を支えに歩き出す。
ここから教室ってかなり遠い…
最悪だ。
もう少しで階段にさしあたるかなってとこで、ふと思い出しスマホを取り出す。
長押しで電源をつける。
スマホの画面には50件くらい着信がきていた。
かけてきているのは実哉とユーとイクの3人。
これって心配かけてるよね…。
俺は意を決して実哉に電話をかける。
大丈夫。
話せる。
何回かコール音を鳴らすも…
出ない。
とりあえず、教室に向かうか。
俺はスマホは手にしたまま、歩き出そうとした瞬間、いきなり後ろから何者かに羽交締めにされた。
ビリっと首筋に電気が走る。
スタンガン!?
スタンガンのせいでもあるが体調もあまり良くないから身体が思う様に動かない。
すでに自分で立っているのか羽交締めにされてるせいで立っているのかそれすらも不明だ。
「やっぱ、このスタンガンあまり性能良くないや」
「気失うかと思ったけどな」
「残念」
3人?
さすがに蹴ったり殴ったりする元気はないけど逃げるくらいなら…
せめて、大声でもあげれば生徒会の人が気付くかもしれないけど。
さすがにここからじゃ、距離があるか…
「まぁ、じゃあ、しょうがないか」
「止む終えないって事で!」
「それじゃあ、少しの間寝ててね」
寝るって…
亜「…ッ!?」
突然、みぞおちを殴られる。
さすがにここまでされたら俺でも無理かな…。
ドサッと音を立て、俺は倒れこむ。
ていうか、寝るっていうか気絶じゃんか。
スマホ…手に力が入らない。
スマホが手から離れる。
誰かの足によってスマホは俺の手の届かない所へ飛ばされる。
最悪だ。
画面が光ってる。
着信…。
亜「…実哉」
スマホに手を伸ばしても届かない。
俺はそのまま意識を手放したのだった。
亜芦が連れ去られて、少ししての事。
生徒会の人達が生徒会室からぞろぞろと出てきた。
華「麻糸、あそこ見て!」
麻「なんか、落ちてる」
双子書記は顔見合わせ首を傾げる。
麻・華「行ってみよ!」
二人はその場所へ行き、その“落ちてる”ものを拾い上げた。
華「これって、そー君のスマホじゃない?」
麻「落としていったのかな?」
華「届けてあげよう」
麻「そうしよう!」
麻・華「胡幹!!!」
二人は副会長を呼ぶ。
胡「どうかした?」
麻「そー君の忘れ物」
華「届けてくる」
胡「二人で大丈夫?」
麻・華「雅倉!!」
雅「はいはい」
双子書記に呼ばれ、やれやれっといった感じで会計が返事を返す。
雅「じゃあ、ちょっと行ってくるよ」
胡「うん。先に僕と泰千は向かってるね」
雅「了解。華糸、麻糸、行くぞ」
麻・華「はーい!!」
双子書記と会計は亜芦のクラスへと向かったのだった。
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