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そして…
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?Side
魔美谷学園の高等部の男子棟の校舎を俺は歩いている。
授業中のクラスの前を横切りながら上の階を目指していく。
そして、2年S組のクラスをチラリと横目で確認して更に上の階を目指す。
教室の前を通る度にざわめきが起こる。
だが、そんなのは気にしない。
長い廊下を抜け階段をのぼり、とある場所に辿り着く。
その場所は屋上。
ドアを開けて、屋上に出ると一気に視界が明るくなる。
太陽の光を手で遮り、空を仰ぎ見る。
ふわりと風が髪を撫ぜる。
春の陽気は気持ちがいい。
人工芝に覆われた屋上は昼寝をするのにはちょうどいい。
少し奥の方に歩いていった所に3人の人が寝ていた。
正確にはサボっていた。
青くてふわふわの髪の童顔でアホ面で寝ている人。
そんな人物に腕枕をしているのが赤茶色の髪でとにかくかっこいい人。
そして、その隣で普段はほとんど茶色に見えるはずの髪が太陽の光によって金色に輝き整った顔立ちはイケメンで…
俺の好きな人。
その人の横にストンと座り、顔にかかっていた金色に輝く髪をサラリと横にながす。
スッと顔を近付けて、触れるだけのキスをする。
顔を上げ離れようとした時、その人は目を覚ました。
実「眠り姫にでもなった気分やなw」
上半身を起こしながら実哉はそう言った。
?「…じゃあ、俺は王子様?」
実「俺的には逆のほうがしっくり来ると思うんやけどなぁw」
?「…俺が眠り姫?」
実「せやなwよく寝るからピッタリやw」
?「…そういうもん?」
実「そういうもんやw」
そう言って、俺の頭を実哉は撫でてくる。
懐かしい。
実哉の匂い。
実哉の声。
実哉の存在。
すべてが懐かしい。
泣かないって決めてたのに…
駄目だなぁ。
視界がぼやけてポタポタ涙がこぼれ落ちる。
実「お帰り、蘭羽」
いつかの時と同じ、俺を安心させてくれる優しい笑顔。
蘭「ただいま、実哉。実哉もお帰り」
俺もにっこりと笑って返す。
実「ただいま」
おいでと実哉が手を広げてくる。
俺は飛び込むように実哉に抱き着くと実哉が優しく抱きしめ返してくれる。
ふわりと実哉の香りに包まれ、余計に涙が止まらなくなる。
そんな俺を実哉は宥めるように優しく頭を撫でてくれる。
蘭「…実哉、ごめん」
実「何がや?w」
蘭「実哉の事、待ってるって言ったのに…実哉の事、逆に待たした…」
実「そんなん気にしとらんよw俺も戻ってきて4日しか経っとらんしwむしろ、ちゃんと戻って来てくれてあとがとうなw大変やったろ?」
蘭「うん、めんどくさかった…」
実「まぁ、しゃーないやろwそれに継ぐんやろ?」
蘭「…継ぐ」
実「そうか、頑張りやw」
蘭「…うん」
実「さて、そろそろイクにも説明したってよw」
俺は実哉から離れて、実哉の視線の先に目を向ける。
柚「そー君…じゃなくてみー君?w久しぶりw元気そうで何よりだよw」
蘭「…久しぶり、ユー。そー君でもみー君でもどっちでもいいよ」
特に気にしないし。
ユーの隣でまるで幽霊でも見てるかのような表情で俺を見てくるイク。
なんか腹立つ。
徠「そ、そー君、生きてたの!?☆」
いや、死んだ覚え無いんだけども…
蘭「…アホ」
徠「アホって酷くない!?☆」
じゃあ…
蘭「…馬鹿?」
徠「いや、もほや酷いのは変わらないから!?☆」
そう言われてもねぇ…
まぁ、いいか。
俺はそのまま人工芝にゴロンと寝転がる。
目を閉じれば寝れそう。
思わず、ぼーっと空を見上げる。
徠「ていうか、そー君」
蘭「…何?」
俺は空を見上げたまま応える。
足音が近付いてきて俺の足元で止まった。
なんか、すごく嫌な予感がする…
ハッと気づいた時には遅かった。
俺の上にイクが覆いかぶさってきた。
待ってこれ絶対やばいやつじゃない。
知らぬ間にイクに両手をそれぞれ抑えられていて、イクが上に乗ってるせいで身動きが取れない。
助けを求めようと実哉とユーに視線を向けるとすでに傍観者モードに入っていて、二人してにっこり笑顔でひらひらっと手をふられた。
ほんの一瞬よそ見をしていた間にイクが真面目な顔つきで至近距離で俺の事を見てくる。
なんだろうこのデジャブ感。
蘭「…な、何?」
徠「そー君、誰?」
えーっと…
蘭「…ふぇ?」
思わず変な声出た。
徠「蘭羽って何?みー君って何?そー君、別人なの?」
あぁ…
蘭「イク、テレビ見てないの?」
徠「なんで?」
きょとんっとして返事された…
俺、結構テレビ出てたはずなんだけどなぁ…
蘭「ハァ…説明するからちょっとどいて」
徠「いやだ」
んんん?
いや、何故?
ていうか…
蘭「…近い」
鼻と鼻がくっつきそう。
少しでも顔をそむけようと体を上にずらそうとすると、イクもそれに合わせてにじり寄ってくる。
て、ちょっと…待って…
やばい。
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