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番外編 遊園地に行ってみた6
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蘭「え、えーっと、も、ものは試しで?」
速いだけで目をつぶれば大丈夫なはず…うん。
柚「そー君、無理しなくていいよw」
徠「そうだよ☆」
そうだよってイクが乗りたいって言ったんじゃん…
実「蘭羽一人が嫌なら、俺も乗らんで一緒に待ってるでw」
そう言って実哉は俺が抱き着いてるのに気にもせず、身体をひねり頭を撫でてくる。
蘭「乗るったら乗る!」
俺は実哉の背に顔を埋めたまま、半分ヤケクソでそう言った。
実「そんなら、行こかw」
そろっと顔を上げると実哉は優しい笑みを浮かべながら髪を梳くように頭を撫でてくれた。
なんか子供をあやしてるように見えるんだけど。
それでも実哉が今、俺に見せてる笑顔が俺だけにしか向けられた事の無い笑みだと気付き、子供扱いのようにされた事に対してムッとしたものの嬉しさが勝り、思わず口角が上がった。
さっきまでモヤモヤしていたのがスーッとなくなった気がする。
俺はとりあえず実哉から離れて、その隣に並んだ。
徠「にしても結構並んでるね☆」
柚「確か、待ち時間1時間くらいってなってたよ」
これに1時間…
速くてグルグル周ってグニャグニャするのに1時間並んで乗るの!?
普通に考えておかしいよ。
実「そういえば、ここ1時間くらい掛かるお化け屋敷あるみたいやなw」
徠「知ってる知ってる☆めっちゃ怖いって有名だよね☆」
柚「どんな感じなんだろ?機械だけじゃなくて人もいるの?」
実「みたいやでwでも結構人気みたいやなwさっきネットで待ち時間確認したんやけど、90分待ちやったでw」
お化け屋敷に90分かけて並んだ挙句、1時間も恐怖の中に閉じ込められるって地獄でしかなくない!?
それに行きたがる人、頭おかしいよ!?
ん?
それにしても…
蘭「…実哉、お化け屋敷行きたいの?」
普通に聞こうと思ったのに思わず、恐る恐る顔を上げて聞いてしまった。
実「俺は蘭羽と一緒やったらどっちでもええでw」
フッと頬を緩めて、俺を見下ろしながら優しく頭を撫でられる。
実哉は顔が整っていてかっこよくてイケメンだ。
元々、会った時からかっこよくてイケメンだったけど年々歳を超えるたびに更にかっこよさとイケメン度が上がってる。
もちろんモテる。
だからといって、羨ましいとかそういう事を思った事はない。
だって実哉は実哉だから。
けど、俺だけに見せる笑顔や表情、頭を撫でたり抱き締めたりするのはこれからもこの先も俺一人だけあって欲しい。
でも、もしも叶うなら俺以外の他の誰にも笑顔を見せないで欲しいし、優しくしないで欲しい。
でも、実哉は知らない人にも笑顔で優しく接する。
だってそれが実哉だから。
俺だけにしか見せない実哉は今までいっぱい見てきた。
俺が知らない実哉はないんじゃないかってくらいに。
それに実哉は俺に対してすごく甘いし、他の人に対するよりもすごく優しい。
何事にも俺を優先する。
俺に意見を聞いて、嫌だといえばやめようかってこれが良いといえばじゃあそうしようかって。
もっと俺に言っていいのに言ってくれない。
いつも自分の事を二の次にする。
さっきだってそうだ。
俺が乗らないなら乗らないとか一人だと危ないとか…
俺は幼い子供でも何でもない。
一人で待つ事だって出来る。
もういい大人なんだから自分で対処だってできる。
それを実哉に言えば、いいだけなのに俺は臆病者だから言えない。
なんだか泣きそうだ…
蘭「…そっか」
実「蘭羽、どうかしたんか?やっぱジェットコースター辞めたほうがええんやないか?俺も一緒に待っとるし、別の乗り物に乗ってもええんやで」
思わず、俯いてしまった俺に実哉が心配そうに声を掛けてくる。
違う。
そうじゃないんだよ。
一度ギュッと強く握り締め、一呼吸おいて、顔を上げる。
実哉は俺に会ってから笑わない俺に対して笑えとは言わなかった。
それは今だって変わらない。
だけど大人になった今、そうもいかない。
愛想笑いの笑顔の1つや2つは普通にするし、もちろん敬語も話す。
間を開けて話さないし、もっとはきはき話す。
出来るけどしないだけで出来ない訳ではない。
でも、実哉達の前でそうしないのはわざとじゃない。
間を開けて話すのも聞こえるか聞こえないかくらいでぼそぼそ話すのも笑わないのもそれが俺だ。
きっと皆もそれは分かってる。
蘭「大丈夫。ちゃんと乗るよ。だけど、まだかかりそうだからなにか買ってくるね!」
なんでか分からないけど、はっきりとにっこりと笑って俺はそう告げていた。
そして、咄嗟にイクの腕を掴んで俺はその場から逃げるように離れた。
実哉とユーの呼び止める声が聞こえた。
だけど腕を引かれたイクは何も言わなかった。
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