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番外編 遊園地に行ってみた7
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実哉達からだいぶ離れて姿が見えなくなったであろう所で俺は足を止めた。
もちろん、俺に手を引かれてついてきていただけだったイクは見事に俺にぶつかった。
ゴンッといい音を立てて俺の後頭部にイクの顎がクリーンヒットしたのか中々に痛かった。
徠「いったた☆そー君止まるなら止まるって言ってよ☆」
もーと言ってくるイクは怒ってはいない。
いつもと変わらない。
徠「そー君?」
微動だにしない俺を不審に思ったイクが俺の真正面にきて顔を見てくる。
徠「ちょッ!?そー君、泣く程痛かったの!?」
蘭「…えっ」
思わず、自分の顔に手を触れる。
頬を触った指先が濡れた。
あぁ、だから視界がボヤケてるのか。
どんどん涙は流れて止まらない。
何故かも分からない。
こんなに人がいるのにすれ違う人が俺を見てくるのに涙は止まらない。
ポロポロと次から次へと溢れてくる。
徠「そー君」
俺の名前を呼んでイクは着ていた上着を俺の頭にかぶせて手を引いて歩き始めた。
俺はされるがままついていく。
少ししてイクが止まった。
人気があまり無い場所。
行き止まりの隅っこだ。
徠「ほんと今だけだからね」
そのままグイッと腕を引かれてイクの腕の中に収まる。
ギュッと抱き締められて背中をポンポンと優しく叩かれて撫でられる。
イクのいつもじゃ考えられない優しさと行動に更に涙が溢れた。
徠「そー君、早く泣きやんでね。絶対、ギリィに見つかったら殺されるから」
それならこんな事しなければいいのにって思うけど、イクはやめないだろう。
イクはそういう人だから。
おちゃらけてて☆はうざいけど、ちゃんとまわりは見てるし、気遣ってくれる。
今だって俺が泣いてる事に無理に聞きたたそうとはしない。
そんなイクに俺は助かってる。
いつかの時だってイクは泣きじゃくる俺を宥めて話を聞いてくれた。
蘭「ねぇ、イク」
徠「ん?」
蘭「今から言う事は全部、俺の独り言だから」
徠「うん」
背中を撫でていた手が頭にうつる。
あの時と一緒だな。
蘭「実哉は俺に対して優しいのはいつもの事なのは知ってる。全部、俺優先にするのも。好きだって愛されてるっていうのも分かってる。実哉は俺が不安になると必ず、俺の不安がなくなるまで欲しい言葉と行動をしてくれるから」
徠「あれ?惚け聞かされてる?」
蘭「独り言なんだけど」
徠「ごめんごめん☆」
さっきまで良かったのにちょっとイラッてするのは気のせいかな?
蘭「でも、たまにさ、実哉の事がよくわからなくなる。実哉はよく笑うけど俺は笑わない。もちろん、仕事の為の愛想笑いは覚えたけど」
徠「えっ、それちょっと気になる」
あれ?これ独り言だよね????
蘭「実哉が誰かに笑ってると俺に向けてる笑顔は何なんだろって思う。どういう意味で俺に笑いかけてるのかなって。誰に対しても笑顔を忘れない実哉だからこそ俺は不安になる。どういう感情なのかどういう意味なのか全くわからなくて、俺に対しては絶対に怒らないし、俺を必ず優先するから実哉の思ってる事ややりたい事、感情とか何一つ理解が出来なくなる。俺と一緒に居て実哉はほんとに楽しいのかなとか一緒にいて幸せなのかなとかほんとに俺の事好きなのかなって…」
いっぱい思ってる事はあるのに口に出すと訳が分からなくなるね。
おおよそでは通じたかな…
徠「俺もね…ユーに対して不安になる事あるよ」
蘭「っ…」
イクもぽつりぽつりと呟き出した。
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