アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
体育祭4
-
ユーがイクの所に行ってしまった後…
俺はボーッと応援席から二種目の競技を見ていた。
一種目と違い、ただの玉入れ。
今更だけど、応援席はね…
なんて言うんだろ…
うーんっと、野球場でよくある感じ?
運動場をグルッと囲む様にね!
柵に囲まれて席がある!
以上!
これが俺の精一杯の説明←
そして、俺は1番下の段に行き柵によりかかり、運動場を見てるってわけさ。
あんまりにもボーッとしすぎてるせいで俺は気付かなかった。
後ろから人が近付いて来ていたことに…
気付いた時には遅かった。
油断した…
一瞬にして、片目を覆っていた感覚が無くなり視界が開ける。
いきなり、暗いところから太陽の下の明るいところ晒さられた右眼はチカチカしていて周りがみにくい。
後ろを振り返り眼帯を持っている人物を探すが片目だけで探せる訳がない。
そして、普段眼帯をしてるせいで常に伏せている右眼はなかなか明るさになれない。
頭痛がする…
頭がズキズキしてきた。
早く眼帯を見つけなきゃ。
右眼を覆い隠し、必死に探そうとしたけど頭痛が酷くてなかなか視界が定まらない。
後ろの柵に寄っかかり、探すが見つからない。
「ねぇ、あの目」
「金色?片目だけ?」
俺の存在、俺の目を見て人が集まってくる。
ただでさえ、白髪で目立つから大人しくしてたのに…
俺はこの光景に記憶がある…
色んな人が俺を奇異の目で見てくる光景…
あっという間に皆が俺の周りに寄ってきて、質問をしてきたり写真を撮ってくる。
シャッターの光で更に視界が安定しなくて頭痛がする…
色んな人が…色んな人の目が俺を見てくるせいで吐き気がする…
柚「ごめんけど、ちょっと退いてもらってもいいかな?」
ユーの声が聞こえた気がした。
柚「ちょっと、道開けて」
今度はハッキリと聞こえた。
見知った声を聞き、硬直していた身体から力が抜けて、俺はその場でしゃがみ込み顔を伏せる。
思い出したかのように身体が震える。
俺の前で誰かがしゃがんだ。
柚「ごめんね、そー君。大丈夫?」
俺はおそるおそる顔をあげる。
亜「…ユー」
柚「そー君、眼帯は?」
そう聞いてきた、ユーに俺は首をふる。
それで察してくれたらしいユーは俺を庇うよに俺の前に立った。
柚「で、そー君の眼帯を持ってるのは誰かな?」
とユーが言った。
そんな、簡単に出てくるわけがないよね…
実「ユー」
実哉の声…
柚「ギリィ」
少しユーと実哉が話していた。
実哉が俺の前にしゃがんだのが分かった。
実「亜芦、大丈夫かぁ?こわかったよなぁ」
実哉の声を聞いて、安心して泣きそうになった。
俺は実哉をみる。
亜「実哉ぁ…」
そんな、俺に実哉はよしよしと頭を撫でてくる。
実「ちょっとだけ、待っとてや」
と言って優しく笑いかけてきた。
俺はコクンと頷いた。
実哉は上のジャージを脱ぎ、俺の頭からスッポリと隠すようにジャージをかけた。
実「なぁ、誰が持っとるん?返してくれへんか?あんま、怒りたくないんやけど?」
実哉が怒ってる。
それだけは分かった…
そこからはよく聞き取れなかった。
多分、自分が泣いてたからだと思う…
実「亜芦」
亜「…実哉」
再び、俺の前でしゃがんだ実哉をジャージ越しで見上げる。
実「ここから少し離れよーか」
それに対して俺は頷く。
実哉は俺の涙を拭い、俺を横抱きで抱き上げた。
抵抗する気もない…
俺はただ、ここから離れたい…
頭にかけてあったジャージを実哉が俺に渡してきた。
実「ちょっとだけ、持っといてや」
亜「…うん」
俺はジャージをギュッと握る。
実哉の匂いがする…
安心する…
だから余計、涙が止まらなくなる。
吐き気は少しひいたけど頭痛はまだする。
実「ユー、ちょっと保健室行ってくるわ」
柚「了解。こっちはこっちでやっとくよ」
実「頼むわぁ」
と言って実哉は歩きはじめた。
その何とも言えない振動と安心しきったせいか、いつの間にか俺は眠っていた…
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
196 / 246