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体育祭6
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うなされている亜芦。
俺はただ、それを見てることしかできんかった。
伸ばされた亜芦の手を握る。
亜「実哉!」
俺の名前を呼びながら亜芦が目を覚ました。
実「亜芦、起きたか?平気か?」
亜「…ここは?」
上半身を起こす亜芦を手伝う。
実「保健室やで」
亜「…そっか」
額に滲んだ汗を袖で拭おうとする亜芦に俺はタオルを差し出す。
実「随分、うなされとったけど平気か?」
亜「…うん、小さい頃の夢見てただけ」
小さい頃の夢?
実「そうなんか。うなされるほど嫌な夢やったんか?」
そう聞くと、亜芦は首をふった。
実「違うんか?」
亜「…うん」
俺は亜芦の隣に腰掛ける。
実「嫌な夢やないならいんやないか?」
亜「よくない!」
珍しく、亜芦が声を荒らげた。
実「どしたん、亜芦?」
亜「ねぇ、実哉」
実「なんや」
じっと亜芦が俺を見上げてくる。
亜「小さい頃、髪の毛、金髪だった?」
?
実「せやで。でも、成長していくうちにこの色になったんや」
亜「じゃあ…じゃあ、実哉は小さい頃、俺に会った?」
そう聞かれて、俺は驚いた。
俺はフッと口元を緩ませ…
実「会ったで、ラウだった頃の亜芦にな」
と言った。
亜「ここに来た時から知ってたの?」
実「いや、知らんかった」
亜「じゃあ、いつ…」
実「亜芦がその金色の目を見せてくれたときやな」
亜芦の長い前髪を耳にかけ金色の瞳を覗き込む。
亜「ち、近い///」
グイッと俺を押しのけようとする亜芦を逆に自分の胸元に引き寄せて抱き締めた。
なんとなく、顔を見られたくなかったから…
実「俺な、一目惚れやったんやでwはじめて、海外行った時でさ…」
亜「一目惚れって…はじめてだったの?」
亜芦が顔を上げようとしたから、駄目やでと言って下を向かせる。
実「せやでw仕事だった父さんについて行ってたんや。ホテルにいても暇やから街をぶらぶらしとった。そしたら、亜芦を…ラウを見つけたんや」
ボーッと路上に立っている儚くて綺麗な少年…
実「話しかける気は無かったんやけど、いつの間にか話しかけとったw」
亜芦はじっとしている。
実「なんで、あの時話しかけとったんやろか…」
亜「後悔してるの?」
実「いや、してへんwまぁ、あの時、亜芦に眼帯を渡してなかったらどうなってたんかなぁとは思ったけどなぁw」
亜「それは…俺も知らない」
実「せやろうなwまぁ、ええんやけどなw」
あん時の俺はきっと亜芦を助けたい一心でやった事やろな…
今、冷静になって考えれば一体俺は何やってんねんって思う。
手を引いて公園に連れていくし、サイダー渡すし、いきなり触るし、眼帯つけるし、名前聞くしで…
思い出すだけでもアホくさい…
はぁーっと亜芦を抱き締めたまま、溜め息をつく。
亜芦の体温が心地ええ…
亜「実哉…苦しい…」
実「んー?w」
亜「もう、いい加減離してよー」
実「まだ、あかんw」
亜「むぅ…実哉の顔見たい」
実「だーめ」
亜「嫌だー!」
亜芦がスルッと俺の腕から出ていく。
あららw
のそっとベッドに膝立ちして、俺を見下ろしてくる亜芦。
亜「?」
亜芦が俺の顔を見て、首を傾げる。
実「どないしたん?」
亜「それ、俺が聞きたい」
そう言って、今度は亜芦が俺の頭をかかえるように抱きしめてきた。
フワッと亜芦の甘い匂いに包まれる。
実「亜芦、何してるん?」
亜「抱きしめてる」
実「何でや」
亜「実哉が…実哉が泣いてたから」
俺が泣いてる?
実「それはびっくりやなぁ…」
亜「俺の方がびっくりだよ」
実「せやろうな」
亜「俺はここにいるよ」
実「せやな」
亜「一目惚れしたラウがいるよ」
実「それは言わんといてやw」
亜「嫌だ。一生言い続けてやる」
実「何でや」
亜「なんとなく」
実「せやなぁ…もう、亜芦離してええで」
そういうと、スッと亜芦が離れる。
………。
俺より少し高い位置にいる亜芦。
実「なんで、亜芦が泣くんw」
亜「う、うるさい///」
プイっとそっぽを向いて袖で涙を拭ってる亜芦。
俺、亜芦を好きになってよかった…
実「おいで、亜芦w」
うるうると瞳を涙いっぱいに溜めてる亜芦に両手を伸ばす。
ガバッと亜芦が俺に抱きついて、肩に顔を埋めてきた。
亜「実哉」
実「なんや」
亜「好き」
実「俺も亜芦が好きやで」
亜「うん、好き」
実「好きやで」
亜「実哉に会えて良かった」
実「俺も亜芦に会えて良かった」
亜「ずっと、傍にいて」
実「傍におるよ」
スッと亜芦が離れる…
亜「ねぇ、実哉…キスして?」
じーっと俺を見て言ってくる亜芦。
実「好きなだけしたるで」
というと、亜芦がスッと近付いてきて…
ガラッ
ガラッ?
徠「たのもー!✩」
柚「イク、静かに」
徠「そうだった✩あれ?そー君起きたのー?✩」
保健室のドアを開けて、入ってきたユーとイク。
実「亜芦?」
俺の胸元に顔を押しつけて動かない亜芦。
すると、バッと顔を上げ、キッとイクを睨み…
亜「イクのばーか!!」
と言った。
徠「えっ、なんで!?✩」
柚「思ったより、元気そうで良かったwそろそろ、最終種目だけどそー君、出れそー?」
亜「最終種目?」
柚「うん」
亜「そんなに寝てたの?」
キョトンとして俺の方を見てくる亜芦。
実「うん、結構寝とったで?w」
5、6時間は余裕でw
亜「えーっと…」
実「どないするん?w賭けは?w」
そう聞くと、間髪入れずに答えた。
亜「出る!」
柚「じゃあ、行こっかw」
亜芦はベッドからおりて立ち上がる。
実「亜芦、眼帯は?」
そのまま、ユーとイクに続いて保健室を出ようとした亜芦に言う。
亜「もう、しない!実哉がキレイって言ってくれたから!」
そう言って、亜芦は俺の方を振り返りにっこりと微笑んだのだった。
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