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「……ちゃん!お兄ちゃん!!」
………ん、朝っぱらからキャンキャンうるせーな。
「起きて!」
布団の上から俺を激しく揺さぶって耳元で叫ぶ。
「はいはい、分かった……おきるよ……」
枕元の目覚まし時計に目をやると、ちょうど7時になったところ。
30分後には家を出ないと電車に間に合わないから、朝飯と支度の事を考えると、タイムリミットギリギリの時間だ。
それにしても、茜が起こしに来るなんて珍しい。
「なんか用か?」
俺はベッドの端に座って、アクビをしながら聞いた。
「今日、マークさん来るから、早く帰って来てね!」
茜が、いつになく必死に訴える。
なんだ、マークさんの事か。
「うん。一応そのつもりだけど」
頭を掻きながら答えると、すごい形相でにらみ付けてきた。
「一応じゃダメ!絶対早く帰ってきてよ!!」
朝から耳がイタい。
これ以上、朝の貴重な時間を奪われたらヤバい。
ここはさっさと、右手を上げて誓いましょう。
「ハイハイ、分かりました」
俺がそう言うと、茜は納得したらしく、自分の部屋に帰って行った。
それを見送ってから、ノロノロと着替えはじめる。
必死だな。
まだ1回しか会ってないのに、どうしてそこまで好きになれる?
俺には分からない感覚だ。
本気で人を好きになった事すらない俺にとっては、未知の世界。
相手の何気ない言動に、一喜一憂するほど愛おしい
そんな感情すら理解出来ない。
一生懸命な茜を、少し羨ましく思った。
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