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その日の放課後。
帰り支度を済ませて、いつものように西浦と前田を探す。
最初に見つけた前田は、帰り支度の済んだカバンを机の横にかけて、自分の机と周囲の机を4つ向かい合わせにしているところだった。
「前田、なにしてんの?」
「あ、平原。今から、プリントを綴じるんだよ」
カバンを持って前田のところへ行くと、前田は笑顔で答えた。
前田が委員の仕事をする時にイヤな顔してるのを、俺は今まで見た事がない。
委員の仕事なんて面倒臭いだけなのに、と不思議に思って、前に一度聞いて見た事がある。
前田に言わせると
『イヤイヤやると効率よくないから』らしい。
確かにそうだけど、それだけの理由であんな風に仕事は出来ないと思う。
前田は根っからのお人好しで、世話好きだと思う。
「どんくらいあんの?」
「えーと、二十枚つづりが30部」
前田は平然と答える。
「結構あるじゃん。その量、今から一人でやんのかよ?」
「そのつもりだけど?」
そんな当たり前って顔して、答えんなよ。
「俺も手伝う」
俺はそこら辺の机の上にカバンを置く。
「え?いいよっ!今日、早く帰らなきゃならないんだろ?」
「少しくらい遅くなったっていいよ。それより、こういう時は俺とか西浦に言えよ。いつも世話になってんだからさ」
ブンブン首を振る前田に詰め寄ると、
前田は困ったような嬉しいような微妙な顔をしながら「サンキュ」と言った。
俺と前田が職員室にプリントを受け取りに行こうと教室を出た時、前から西浦がやってきた。
「どこいくんだ?帰んねーの?」
西浦は濡れた手をプラプラさせながら聞いてきた。
「つめてっ」
顔にしぶきが飛んでくるのを手で遮る。
「ちょっと仕事があって、職員室だよ」
前田は西浦にハンカチを差し出しながら答えた。
「お前も一緒に来い!!」
「え~!!」
俺は嫌がる西浦を引きずって職員室へ急いだ。
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