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「まぁ、外国の方とお知り合いなのね。すごいわぁ」
おばあさんは顔を少し赤くして、俺に話しかけてきた。
「帰りが遅いから、心配なさって迎えに来られたのね」
視線をマークさんに向けて、おばあさんは一人で納得したようにウンウンと頷いている。
「この子を叱らないでやってくださいね。帰りが遅くなってしまったのは私のせいなんですよ。この子は私の荷物をここまで持ってくれて、私に合わせてゆっくり歩いてくれたんです。しかも、私を助けてくださったの、今日だけじゃないんですよ。本当に優しい子なんです」
おばあさんはマークさんに歩み寄って、一生懸命事情を話して、俺のフォローをしてくれた。
「はい。優希はとても優しい人です。私も助けていただいた事があるので、分かります。優希を叱ったりしません。安心してください」
マークさんは、おばあさんに視線を合わせる為に少し屈んで、嬉しそうに微笑む。
俺の目の前で繰り広げられる二人の『褒め称えプレイ』に、ただただこっ恥ずかしくて、もんどり打って倒れそうになる。
おばあさんはマークさんの言葉に安心したらしく、ニッコリと笑うと、モゾモゾしている俺のところまで足早に戻って来た。
「私の家はこっちだから。ユウキちゃん、本当にありがとう。楽しかったわ」
おどけたように明るい口調で笑顔を見せると、俺から買い物袋を二つ取り上げた。
『ユウキちゃん』って……
ばあちゃんが呼んでくれていた呼び方。
懐かしくて、胸がキュッと、せつなくなった。
「……あっ、本当に家まで送らなくて大丈夫?」
『ゆうきちゃん』呼びに不意を突かれて、易々と荷物を奪われてしまった事に気付き、慌てて声をかけると、おばあさんは小さく手を振った。
「大丈夫よ。ここでじゅうぶん。ありがとうね」
俺とマークさんにお辞儀をすると、笑顔で帰って行ってしまった。
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