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「ライアンさん、優希の事、よろしく頼みます」
父さんは立ち上がり、両手を差し出して、マークさんに握手を求める。
「どれだけお役に立てるかは分かりませんが、優希と一緒に頑張りたいと思います」
マークさんも立ち上がって、父さんの手を取り、握手をして大きく頷いた。
くそっ、本人の意志無視して勝手に話し進めやがって!
こんな展開になるんだったら、最初から素直に塾に行くんだった!!
笑い合う二人の横で、テーブルに突っ伏していると、バン!という大きな音と共に、テーブルが揺れた。
「お兄ちゃんだけズルい!私もマークさんに家庭教師してほしい!!」
驚いて顔を上げると、茜が立ち上がっていた。
そうだ!
茜にマークさんを押し付けちゃえば良いんだ!!
俺も茜に倣って、意気揚々と立ち上がった。
「じゃあ、マークさんには茜の家庭教師をしてもらって、俺は塾に行くって事で!」
茜に便乗して塾に行くって言えば、今度は父さんも文句ないだろう。
「うん!私もそれが良いと思う!!」
茜は横で大喜びしてる。
ふっ、勝ったな。
ほくそ笑えんだところで、父さんに鼻で笑われた。
「駄目だ」
はぁ!?
「何で?俺、塾に行くって言ってんじゃん!」
いつになく必死に訴える俺を、父さんが一瞥する。
「お前が塾でちゃんと勉強する保証はない。その点、ライアンさんにはマンツーマンで勉強を見ていただけるから、確実に何らかの成果が現れる。どちらに利があるか、比べるまでもない」
そこまで言われるなんて……。
俺って、そんなに信用ないのね。
まぁ、実におっしゃる通りなんだけど、何か、むなしいよね。
ガクリと頭を垂れていると、茜が「ねえ!」と声をあげた。
「私はマークさんに勉強みてもらえるの?」
茜が不満そうな顔をして父さんを見ている。
「茜は成績良いんだから、家庭教師してもらう必要ないじゃないか」
茜の気持ちを知ってか知らずか、父さんはバッサリと否定した。
茜は運動はもちろんの事、俺と違って勉強も出来る。
小学生の時もそうだったけど、中学初めての中間テストでも学年10位だったらしい。
同じ親から生まれたのに、こうも違うと惨めになるよな……。
茜はあからさまに落ち込んで、テーブルに突っ伏した。
そして、横目で俺を睨む。
俺を睨んでも、どうしようもないだろう?
俺も被害者なんだ!
睨むなら、酔っぱらい親父だ!
親父を恨め!!
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