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俺の必死の抵抗も虚しく、家庭教師の話は決定事項となってしまった。
意気消沈の俺は、現在、自分の部屋で、ふて寝中である。
マークさんは、まだ父さん達と一緒にリビングにいる。
早速、家庭教師の日程や料金について話し合ってるようだ。
茜もマークさんの横で話を聞いていたが、俺は居たたまれなくて、コソコソと逃げてきた。
今後、最低でも週一回はマークさんに会う事になるのかと思うと、気が重い。
うつ伏せになって、枕に顔を埋めて唸っていると、コンコン、とドアをノックする音がする。
「はい」
枕に突っ伏したまま返事をすると、間もなく、ドアが開く音がした。
「優希、入りますよ?」
聞こえてきたのは、マークさんの声だった。
枕から少し顔を起こして、マークさんを横目で見る。
「お休みのところ、失礼します。……もしかして、体調が優れませんか?」
マークさんが心配そうに近づいてくるのをみて、とっさに飛び起きた。
「いやっ、大丈夫!眠いだけです!」
ベッドの端に座り、それ以上近付いて来ないよう右手を突き出して、マークさんの動きを阻止する。
「そうですか。そういえば、もう9時半ですからね」
マークさんは安心したように微笑む。
そして、思い出したように腕時計の時間を確認すると、少し考えるような素振りを見せた。
「どうぞ。座って良いよ」
本当は、こんなに遅くまで他人の家に上がり込んだら駄目なんだぞ。
心中でマークさんに文句を言いつつ、椅子を勧める。
「何かあった?俺に何か用事ある?」
マークさんがお礼を言って座ったところで、早速用件を言うように促した。
「お疲れのところ申し訳ないのですが、教科書を見せていただけませんか?」
は?教科書?……今から?
「え……家庭教師って、今日からなの?」
驚いて口をあんぐり開けたままでいると、マークさんはあわてて否定した。
「家庭教師自体は来週から、という事になりました。それで、事前に優希が勉強している内容を把握しておきたいと思いまして……」
スゲー。
たかが酔った席で決まった事なのに、ちゃんとしてくれるんだな。
俺はベッドから降りて、学習机の横にかけてある学生カバンから数学と英語の教科書を取り出した。
「数Ⅱ、数B、英Ⅱ、リーダー、ライティング」
棚にある物も机の上に置いていくと、一応、各教科書を紹介する。
「単元で分けられていないのですね」
マークさんは何か呟きながら物珍しそうに、教科書を手に取ってパラパラとめくっている。
一冊ずつはそう分厚い訳じゃないけど、嫌いな教科に限って二冊も三冊も教科書があるのが本当に憎たらしい。
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