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「あれ、茜は?」
何気なくリビングに目を向けると、この時間はテレビを見ているはずの茜の姿が見えない。
「あーちゃんは部活よ。今日からは帰るの六時過ぎるんじゃないかしら」
「へー、何の部活に入ったの?」
「バレー部。ほら、あーちゃん、背高いじゃない。どうも、入学してすぐに顧問の先生に声掛けられたみたいよ。あーちゃん、体動かすの好きだし、その場で入部決めてきちゃったのよね。……ちょっとくらい相談して欲しかったわ」
菜箸を動かしながらぼやく母さんの横顔は、少し寂しそうだった。
茜はけっこう背が高い。
中一になったばかりで、俺と同じ165センチもある。
……というより、俺は高二にもなって165センチ。
しかも妹と同じ身長。
ミジメだ……。
母さんは150センチしかないが、父さんは180センチもあるから、俺にも希望がない訳ではない。
俺の顔は母さん似らしいが、まさか背まで似たりしないよな?
……きっと遅れて成長期がやって来るはずだ。うん、きっとそうだ。
一瞬不安が過ったが、考えない事にした。
「母さん、夕飯出来たら呼んで。俺、上にいるから」
母さんの後ろ姿に声をかけてリビングから出た時、ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴り響いた。
誰が訪ねてきたのかと気にしつつ階段に足をかけた途端、母さんに呼ばれた。
「優ちゃん、玄関出てくれる?お母さん、今、手が放せないのよ」
「えっ?」
母さんの声に振り向くと、今度は泡立て器を片手にシャカシャカとかき回している。
「早く行く!」
ものすごい剣幕でこちらを見ながら怒鳴る母にビクッと肩を震わせた。
母さん……有無を言わさずですか。
ったく、なんてタイミングでチャイムが鳴るんだよ。
面倒くせ。
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