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「っと、ごめん、おかえり」
「なんでこんな所に突っ立ってんだ?」
体勢を整えて見上げると、仕事帰りでくたびれた感じのする疲れ顔の父さんが俺を見下ろしていた。
そんな父さんに回覧板を掲げながらため息をつく。
「母さんに頼まれて、回覧板回しに行くところ。父さんもコレ見る?」
「いや、いい。ご苦労さん」
父さんは俺の肩をポンと叩いたついでに、手すり代わりにもたれ掛かりながら靴を脱ぎ始める。
……地味に重いぞ、オッサン。
父さんが靴を脱ぎ終えるまで大人しくしていたら、今度はパタパタとスリッパの音が近づいてきた。
「おかえりなさい、遅かったのね」
「あぁ、今日は出先に居て直帰だったんだがな、あー、疲れた」
母さんが慌ただしく玄関にやって来て、父さんから鞄を受け取る。
俺に気づいたようで、こちらを向いて目を見開いた。
「あら、優ちゃん。まだ行ってなかったの?もうすぐご飯だから、早く行ってきなさいよ」
『早く行ってきなさいよ』だって?
頼み事をしておきながら、何なんだ、その言い方。
ちょっとムカつく。
「行ってまいります」
母さんを軽く睨み付けてイヤミったらしく言ってやると、母さんはオホホと誤魔化すように笑って手を振った。
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