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灯り、点いてる。
……居るんだ、おとなりさん。
マジか。
どうしよ、何て言って謝ったら良いんだ。
まだ何にも考えてな……
目を泳がせて動揺していたが、ふとある考えに行き着く。
いや、待てよ。
もしかしたら、奥さんが居るだけかもしれない。
そしたら、回覧板だけサッサと渡して帰れば良いんだ。
そうだ、そうしよう。
そう気を取り直して、おとなりさん宅に向かう。
おとなりさんの家まで10メートルもない道のりを歩きながら、何故かどうしようもなく心臓がバクバクしていた。
落ち着け、俺。
たかが回覧板渡しに行くだけだ。
大丈夫、きっとヤツはいない。
おとなりさんの家の前で大きく深呼吸して、呼び鈴を鳴らす。
チャイム音を聞きながら、唾を飲み込んだ。
『はい』
俺の期待は見事に外れ、インターホンから聞こえて来たのは、男の声。
聞き覚えのある、低音で耳障りの良い声だった。
ショックのあまり、二の句が継げないでいると流暢な日本語が聞こえてきた。
『どちら様ですか』
返事がないから不審に思ったのだろう、声に凄味があった。
「ひっ、平原ですっ」
おとなりさんの声にビビってしまい、条件反射のように咄嗟に名を名乗ってしまう。
しかも、吃った上に声が裏返るとか恥ずかしすぎる。
『平原…くん?』
声……高くなった。
インターホンから聞こえてくる俺の名を呼ぶ声は、先ほどの凄味のあるものとは全く違っていて、それだけですごくホッとした。
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