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『いま開けますから、少し待っていてくださいね』
さっきとは全く違う明るい声がそう告げると、俺の返事を待たずにインターホンのスピーカーがブツッと切れた。
や、ヤバい。
来る、来ちゃうよ。
なんて謝ればいい?マジどうしよ。
時限爆弾のスイッチが押されたかのような止めようのない危機的状況に、おとなりさん宅の玄関先で右往左往する。
クソッ!
こんな事なら現実逃避なんかせず、ちゃんと考えておけば良かった。
いや、むしろ、最初からポストに回覧板を突っ込んでおけば良かったんだ。
なんて、色々悩んだところで後悔先に立たずなんだけど、どうしようもない事をグルグル考えてしまう。
ガチャッ、と玄関のドアが開く音がして咄嗟に振り向くと、嬉しそうに微笑みを浮かべたおとなりさんが姿を現した。
うわ……
おとなりさんの笑顔があまりにも綺麗で、思わず見とれてしまった。
「こんばんは、お久しぶりです」
「あっ、あぁ、こ、こんばんは、とっ、突然すみません」
おとなりさんに挨拶され、我に返って慌てて返事をする。
慌てていたせいなのか、何なのか、出てくる言葉全てが吃ってしまった。
なに俺、吃り癖がついちゃったのかよ。マジ恥ずかし……
自分の顔が熱くなるのを感じて、下を向いた。
「……平原くん?」
「っ!」
突然、おとなりさんが覗き込んで来た事に驚いて声なき悲鳴をあげると、咄嗟に腕で顔を隠しながら身を引いた。
一瞬だけ間近に迫った、おとなりさんの顔。
直視出来ないくらい綺麗だった。
顔を覆っていた熱が、さらに頭を浸蝕し始めるのを感じる。
「……また驚かせてしまいましたね、すみません」
俺の様子を目の当たりにしたおとなりさんは、申し訳なさそうに眉尻を下げた。
「い、いえっ、こちらこそ、すみません」
慌てて謝ったものの、覗き込まれた時の衝撃が強すぎて、いまだに心臓がバクバクいってる。
とりあえず、落ち着け。
俺は自分に念じながら目を閉じ、次に起こす行動に備えて深呼吸した。
「回覧板を届けに来ました」
機械的にそう告げて、おとなりさんに回覧板を差し出す。
「あぁ、ありがとうございます」
何故俺が訪ねて来たのか合点がいったようで、おとなりさんは頷いて回覧板を受け取り、にっこりと微笑む。
その笑顔に再び胸が大きく跳ね、顔が更に熱くなるのを感じた。
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