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「ほ、本当に大丈夫なんで、ホントに!」
おとなりさんが俺に疑惑の目を向けて再び顔を覗き込んで来そうだったから、後退りしながら必死に弁解する。
すると、おとなりさんはクスッと笑った。
「少し肌寒くなってきましたね。家でお茶でもいかがですか?」
「……は?」
何とか誤魔化せてホッとしたのも束の間、今度は満面の笑みでお茶に誘われてしまい、息が止まりそうになる。
「えっ、あの……」
まだ知り合ったばっかりなのに家に上がり込むのはちょっと……。
しかも、外国の方の家にお邪魔した事もないからどういう作法があるかも分からないし。
無理、絶対無理。
そう思ってお断りを入れようと口を開くと、キラキラスマイル全開にしたおとなりさんがナチュラルに俺の肩を抱いて、玄関内に引き入れた。
「遠慮なさらずにどうぞお入りください」
「いえっ、いや、本当に、もうすぐお家で晩御飯なので長居は出来ないので、ここで大丈夫です!」
このままではエレガントにエスコートされてお家の中にご招待されてしまう!
危機的状況に焦りを感じて、一生懸命支離滅裂な言葉を駆使してお断りを入れる。
「……そうですか。では、お茶はまたの機会にしましょう」
「はい!ぜひそうしてください!」
良かった!!
何とか家に上がらなくてすみそうだ!
胸を撫で下ろしていると、今度は予想外の言葉を耳にした。
「平原くんの都合の良い日はいつですか?」
「えっ?」
「あらためてお誘いしたいので、良い日取りをと思ったのですが」
「……は?」
「次の日曜日はいかがですか?」
やばい。何なの、この状況。
何故か次のお茶する約束を取り付けられようとしてるんですが。
俺、何かまずい事言った?
先ほどの俺達の会話を反芻してみると……あ。
『では、お茶はまたの機会にしましょう』
『はい!ぜひそうしてください!』
これですか?
原因は、この会話なんですか?
え……でも、この会話って俺がやんわり遠回しにお茶をお断りしただけだよね?
…………え?
違うの?何が違ったの?俺どこ間違えた?
笑顔で問いかけてくるおとなりさんを目の前にして、俺は愛想笑いを張り付けたまま、心中はパニクっていた。
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