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「お気遣いいただき、ありがとうございます」
おとなりさんはクスッと笑って大きな手で俺の頭を優しく撫でた。
まるで子供扱いだな。
……まぁ、実際、高校生のお子様だけどさ。
ここ近年、頭を撫でられた記憶がないせいか、無性に恥ずかしい。
ホント、どうしてくれるんだ。
顔が沸騰しそうだぞ、オイ。
頭を撫でられるって……予想外に気持ちいいのが、またタチが悪い。
「あ、あのっ!それで、お話を続きをっ……!」
おとなりさんの仕打ちに耐えられなくなって、頭上にある手を取りにいった。
振り払った方が早かったのだが、あえてここでは避けたかった。
たとえ、おとなりさんの手を握りしめる形になろうとも、電車での時みたいに手を振り払うなんて事はしたくない。
あの時の事は、俺の小さな良心をチクリと刺したままなのだから。
「あぁ、すみません。つい…」
また謝られはしたが、今、おとなりさんは俺の両手を握りしめて、照れた笑みを浮かべている。
あの時みたいに、傷付いた顔はしていない。
「平原君には、本当に失礼な事ばかりしていますね」
「いえっ、そんな事はっ」
シュンと尻尾を下げたワンコのようにしょげるおとなりさんを目にして、慌てて首を振ると、握りしめられていた手がゆっくりと離された。
「平原君は本当にお優しい。……あの時も今のように、私は君に甘えていたのです」
「甘え……?」
意外な言葉を口にしたおとなりさんは、視線を落として話し始めた。
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