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今日のライヴは最低だった
もう我慢の限界に来ていた
だからライヴ終了後、辞めるとだけ言い残して裏口から外に出た
引きとめられても戻るつもりは無い
努力しないあいつらが悪いんだ
ギターを持ち、当ても無く歩いていた
これからどうしようかな
バンド活動はしばらくしたくない
ギターは好きだけど、やりたいメンバーが見つからないまま妥協して適当なバンドでギターを弾きながら今日まで何となく過ごしていた
その結果がいつもこれなんだよね
「今日も寒いな・・・」
空を見上げながら白い息を見つめた
どこをどう歩いていたのか、いつの間にか橋の上に来ていた
この時間は車も通らない橋
もうこのまま死のうかな
なんて、考えてしまう
先の見えない未来
俺はもっとギターが弾きたい
でも、メンバーが見つからない
そうだよね
都合よくメンバーなんか見つからないよね
悲しく微笑みながら、橋の上に立ち暗い川を何となく見つめた
「えっ?」
偶然見つめた川の中に誰かがいた
幽霊でも無さそうだ
死のうとしていた事も忘れ、そのまま川に飛び込み腕を掴んだ
とても細い腕
体も冷え切っていた
そのまま川岸まで運び、人工呼吸を何度も繰り返した
そして、漸く行きを吹き返した
「どうして彼のような子が?」
とても不思議だった
綺麗な顔立ち
濡れた金色の髪
まるで空から落ちて来たみたい
でも、このままでは死んでしまう
そのまま抱き上げ、何とか家に連れて来た
濡れた服を脱がし、温かいお風呂に入れた
「えっ・・・?」
気を失っていた青年から濁った液体が出て来た
俺にでもわかる
この液体は・・・・・
一度バスタブの中のお湯を抜き、新しいお湯を入れて体を丁寧に洗った
青ざめていた顔に赤みがさし、かすかに動いた
髪も洗い、体が温まったところでベッドに寝かせた
「服・・・」
洗濯をしようと服を持ち上げた時、血のついたナイフが床に落ちた
そういえば、体にも血がついていた
怪我をしたのかと思ったけど、どうやら違うようだ
しばらくナイフを見つめ、刃をねじ曲げて新聞に包んでゴミ箱に入れた
一体彼は何をしたのだろう
「何でもいいね」
世の中には事件が多すぎる
金持ちだけ罪をすり抜けて、力の無い者が馬鹿を見る
実際、俺もいろいろな事に手を染めていたし、これと言って驚きはしなかった
「あっ・・・ベッドが一つしかなかったんだ」
ソファーで寝ようかとも考えたけど、また体温が下がってはいけないので隣に寝ることにした
「人形みたい・・・」
眠る横顔を見つめながらそっと抱きしめた
やはり体が冷たかった
こんな綺麗な人間がいるなんてね
彼は羽をもぎ取られた堕天使なのかもね
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