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その日の夜、やはり氷龍は俺を求めて来た
「どうした」
「ごめん・・・少し体調が」
「そうか」
「ごめんね」
「もういいから寝ろ」
「うん」
氷龍の腕の中にいる俺
楓は気付いているはず
でも俺はその腕を振り払えない
「おい、お二人さん」
葵が声をかけて来た
「何だ、うるさいぞ」
「まぁまぁ、これどう?」
そう言ってワインを差し出した
何でそんな物が?
ワインなんかどこにも無いはず
「眠れないんだろ?」
「どこからそんなものを」
「まぁまぁ、飲もうぜ」
お酒を飲めば心が軽くなるかな?
「少しだけもらうよ」
「ああ、ほら氷龍も!翔が酔いつぶれたらどうするんだ?まぁ、ワイングラスは無いけどな」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃ、真夜中に乾杯だ」
そう言いながら葵は一気にワインを流し込んだ
俺も飲んだ
それを見て氷龍も飲み干した
「ささ、どんどんいこうぜ!」
「ばれたら大変だね」
「ばれないさ、多分ね」
「あはっ」
しばらくワインを飲みながら会話していると、氷龍のコップが突然床に落ちた
「えっ?」
「クスリが効いたな」
「クスリ?」
床に倒れこんでいる氷龍を見て笑う葵
そして楓が起き上がった
「俺が頼んだんだよ」
「・・・・・・・・・・・楓」
もしかしてわざと?
「他の連中にもクスリを混ぜて先に飲ませて眠らせた」
「どうして・・・」
「その理由を聞かせて欲しかったからだよ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・」
「じゃ、俺はこいつを布団に寝かせて眠るから」
そう言って葵は氷龍を布団まで運び、自分の布団の中に潜り込んだ
静かな部屋から聞こえてくるのは寝息
そして悲しい風の音
「翔」
「ごめん・・・俺」
「正直とても悲しかったよ・・・あの時の愛してると言う意味に後から気付くなんてね」
「楓」
「まだ俺を愛してる?それを聞く為にここまで来たんだ」
「どうやって・・・まさか」
「何もしていないよ、ある人に頼んだんだ」
「・・・・・・・・・・・・俺」
「うん」
「俺・・・は」
無理だ
今更氷龍を裏切るなんて出来ない
「ごめん、俺は楓を裏切ったんだ・・・ここでの生活の為に・・・でも今は違う・・・俺は」
「彼を愛しているの?」
「わからない・・・でもたくさん助けてくれたんだ」
「だから抱かれたの?」
「えっ・・・どうして」
「態度を見ればわかるよ・・・彼を思わず殴りそうになった」
「俺はもう罪を犯した人間なんだ・・・だからもう」
「もう・・・付き纏わないでって事?」
「ごめん」
「そう・・・わかった」
「えっ?」
「裏切ると言う事がどんなものなのか教えてあげるよ」
「何を言ってるの?」
「翔の心に俺がいないのならどうって事ない」
「楓」
「最後に尋ねるよ・・・俺の腕の中においで」
最後
これで最後
どうしてこんなに辛いんだろう
でもっ・・・俺は
拳を握り締めながら俯いた
「わかった、おやすみ」
「・・・・・・・ごめんなさい」
小さな声で呟き、氷龍の隣で目を閉じた
でも、眠れるはずなんかない
楓はまだ俺の心のどこかに住み着いていたから
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