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ー酷ー
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次の日、翔を見つめながら肩を揺すった
「んっ、おはよ・・・どうしたの?」
「そろそろ起きる時間だ」
「そか」
クスリが入っている事には気付いていた
でもあえて、眠ったフリをした
翔の本当の気持ちが聞きたかったから
でも、まさかあいつが翔の恋人だったとはね
だけど翔はあいつの腕の中には飛び込まなかった
それだけで十分だ
「今日も寒そうだな」
「そうだね」
「朝食はどこで食べたい?」
「ん~、みんなと一緒でいいや」
「わかった」
俺だけ毎日特別扱いはね
別に食事は慣れればまずくないし
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「どうした」
「ううん」
楓は一度も俺とは目を合わせようとはしなかった
葵とは楽しそうに会話をしているのに
「行くぞ」
「うん」
そして食堂に行って驚いた
みんな楓を見て驚いていたから
食事中も視線を感じた
でも楓は無視をして食事をしていた
氷龍も無視をしていた
「翔、今日は球技大会だぞ」
「そんなのがあるの?」
「ああ、イヤなら見学すればいい」
「わかった」
球技は得意じゃない
強制じゃないし、見学しよう
「氷龍は?」
「俺も見学だ」
「そか」
「でも、一緒にはいられない」
「どうして?」
「所長に呼ばれているからだ」
「えっ?」
「心配するな、もう何もしないしお前を裏切ったりはしない」
「うん」
裏切りと言う言葉が重くのしかかる
楓の言葉の意味は何?
そして球技大会がはじまった
みんなとても楽しそうに野球をしていた
俺は暇なので、庭を散歩する事にした
そして、木が生い茂る道を歩きながら足を止めた
「ああぅ・・・楓さん・・・ずっと好きでした・・・ああっ」
えっ?
嘘・・・・・
声のする方へ近付き、唖然とした
「ああっ・・・もっと・・・気持ちいいっ」
楓が知らない奴とやっている最中だった
信じられないけど、本当なんだ
思わずその場を立ち去り、ベンチに腰掛けた
どうして・・・?
楓があんな事を・・・どうし・・・・
「あっ」
もしかして昨日の言葉の意味なの?
愛していなければどうって事無いって事なの?
そんな・・・・
完全に楓を忘れたわけではない
だからすごく心が痛んだ
でも俺は、それ以上に楓を裏切ってしまったんだ
「・・・・・・・・・・・・・・」
「翔」
「氷龍、もういいの?」
「ああ、何かあったのか?」
「ううん、何も」
「顔色が悪いぞ」
「平気」
「部屋に行くか?」
「そうしようかな」
「わかった」
外には居たくない
もうあんな声は聞きたくない
「少し寝ろ」
「うん」
暖かい陽射しが部屋を照らす
冬なのに今日は暖かい
「愛してる?」
「勿論だ」
「うん」
今はその言葉だけが俺の支えだった
嘘ではない
だけど・・・本当でもない
俺は本当にずるいよね
どちらにも本心を告げられないなんて本当にずるくて嫌な人間だ
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