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突然の部屋変えで最初にいた三人が居なくなった
そしてまた新入りが入って来た
もうどうでもいいや
誰が来ても同じだしね
「入れ」
「はい」
大人しそうな奴だな
そんな事を考えながらいつものように隅に座り、本を読んでいた
「あ、あの・・・よろしくお願いします」
誰も話しかける奴はいない
もちろん返事も無い
「あの、どこを使えば・・・」
ロッカーの事かな?
仕方なく教えようとしたら
「君は俺の隣でいいんじゃないかな」
「はいっ!」
えっ?
楓が返事をするなんて
「君名前は?」
「湊です」
「そう、俺は楓・・・こいつは葵」
「よろしくお願いします」
俺達の事は無視か
別にいいけどね
「あの・・・」
「何?」
「湊です、よろしくお願いします」
なんだかムカつく
その理由はわからない事にしておこう
「俺は翔・・・で、彼が氷龍」
「はい、お願いします」
可愛い子だな
目が大きくて素直そうな子だった
「湊、ここにおいで」
「はいっ!」
・・・・・・・・・・・・・・楓達に気に入られたのか
真ん中に座り、話をしていた
何だろう
すごく、嫌な気分
「翔、どうした?」
「ううん、何でもない」
「そうか」
そうだよね
俺には氷龍がいるんだ
楓の事はもう気にしちゃいけないんだ
でも、どうしても会話が気になってしまう
つい、聞き耳を立ててしまう
「おいおい、湊のように可愛い子は楓のタイプじゃないのか?」
「そうだね・・・可愛い子は好きだよ」
「だよな~!」
「あのあの・・・」
「まぁ、楓と居れば安心だからさ」
「はい」
「そうだね、傍にいればいいよ」
「わかりました」
・・・・・・・・・・・・ムカつく
そんなに気持ちの移り変わりが速いなんてね
でも、俺も同じだから文句は言えない
そのまま本に視線を落とし、気にするのを止めた
「楓さん、何を読んでいるんですか?」
「さぁね」
「えっと・・・初恋?」
その言葉を聞いて、思わず指がピクリと動いてしまった
楓も同じ本を?
確かにこの本も楓の家から持って来てしまったものだ
「でもよくわからないかも」
「ツルゲーネフの本だね」
「そうなんですか・・・難しそうですね」
「そうでもないよ」
「どんな内容なんですか?」
「とても切なくて悲しくて儚い・・・そんな本かな」
「じゃ読み終わったら、貸してくれますか?」
「ごめんね、これではなくて他の本を貸してあげる」
「・・・・・・はい」
「この本は特別なんだ」
「わかりましたっ!」
「うん」
何故だろう
涙が流れ落ちそうだ
楓の言葉を聞きながら思わず目を閉じた
神様・・・特別と言う意味を教えてください
今の俺にはその意味がわからないんです
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