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流れ星
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「翔!翔!!」
楓の声がする
やっと話してくれるのかな
そっと瞼を開けると、心配そうな楓の顔があった
「楓・・・ごめんね・・・俺」
「最後の最後で翔の本心が見れて嬉しいよ」
「最後か・・・そうだね」
「まだ俺を愛してる?」
楓の顔は真剣だ
だから俺も本心を楓に言った
「愛してるよ・・・でも楓にはもう」
「もしかして俺の事かな~?」
そう言って湊が笑った
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「めんどい説明は後々!葵、そろそろ」
「だな、行くぞ」
「えっ?」
俺は楓に抱き上げられたまま、牢屋を出た
何故葵が鍵を?
そのまま屋上に向かうと、ヘリが待っていた
「間に合ったな」
「だね~」
えっ?
こんなに堂々と脱獄?
でも、本当だった
ヘリは高度を上げ、暗い空へと飛び立った
「と言うか、翔は幸運の持ち主だな」
「え?」
「本」
「あっ・・・うん」
そう言えば、無意識に本で体を庇っていたんだ
「大切な本には穴が開いたけど、翔は全治1週間の掠り傷で済んだんだぞ?」
「俺・・・でも、脱獄したら」
「お前は十分、罪を償っただろ?」
「だけど」
「確かに俺達のやっている事はいけない事だけど、あの刑務所はすぐに消える」
「えっ?」
「まぁ、気にするな!」
「・・・・・・・・・・・・・・・でも、一生暗闇で暮らす事は出来ないよ」
「だな~、じゃ明るいところで暮らせばいい」
「えっ?」
よくわからないまま、ヘリの中で渡された服に着替え、空港へ向かった
「あの・・・」
「俺達の役目はここまでだ」
「うんうん、幸せになってね!」
意味が分からない
どう言う事?
「俺達と楓は昔からの連れなんだよ・・・で、翔の本心を聞き出すため楓にお願いされて俺達は自ら刑務所に入った」
「もちろん裏ルートでね!」
「でもホントに、よかったな・・・あの時死んだと思ったしな」
「だね、ホントによかった」
そして葵は話を続けた
「翔、お前の知らない世界なんて腐るほどあるんだよ・・・・」
「いいのかな・・・俺」
「勿論だ、俺が許す!」
「えっ?」
「あははっ、葵は一番偉い人だからもう翔は自由なんだよ」
「自由」
「ああ」
一番欲しかったものは自由
そして、愛する人
空港で降ろされ、短い会話をした
「翔、行こう」
「うん、葵、湊ありがとう」
「また二人で遊びに行くよ」
「待ってる」
よくわからないけどそう言って手を振った
「あの、楓」
「愛してる・・・その意見に反対の人は?」
「いるわけないだろ!」
「そうだね」
そして俺達は暖かい南の島で暮らす事になった
俺達の家は広い庭のある家
二人だから広いぐらいだ
青くて澄んだ海と青い空
たくさんの花々や木々
ここは天国なのかも知れない
夜になり、楓と手を繋いで海岸に向かって歩いた
夢じゃないんだ
この温もりは本当なんだ
ずっと追い求めていた温もり
「座ろうか」
「うん」
砂浜に腰掛け、美しい星空を見上げた
「楓」
「ん?」
「・・・・・・・・・・・ごめんね、俺」
「もういいよ、翔を試した俺も悪いんだから」
「えっ?」
「焼きもちを妬かせたかったから」
「湊?」
「うん」
「そか・・・」
「でも、あいつにやられてる時は殺したいと思いながら耐えていたんだ」
「ごめん」
「だから、これからは俺だけを満足させてね」
「当たり前だろ?」
月明かりの中で久しぶりに楓とキスをした
そして、小波の音に合わせる様にリズムを刻み、体を揺らした
もう離れない
絶対に
楓の腕枕で星のカーテンを見つめていた
「あっ、流れ星だよ」
「うん・・・でも俺の願いは叶ったから」
「どんなお願いをしたの?」
「秘密」
刑務所から見えた流れ星に願いを込めながら祈った
楓とずっと一生に居られますようにと
叶わない願いだと思い込んでいたのにね
「ところでさ」
「うん」
「シャワー室で・・・」
「俺の体に気付いてくれたね」
「えっ?」
「俺の名前を呼んだ」
「うん」
「すごく嬉しかった・・・やった事は最低だけどね」
「あはっ」
やはり楓だったんだ
そっか・・・
「今度こそずっと傍にいてね?」
「うん、楓こそ俺を離さないでね」
「もちろん」
今まで生きて来た中で、今が一番幸せだと感じた
愛する人の隣でたわいの無い話をしながら笑う
「あっ、また」
だから俺はもう一度流れ星に願った
ーいつまでも幸せが続きますようにー
「楓は何をお願いしたの?」
「きっと翔と同じ事だよ」
「そっか・・・うん」
そう言いながら微笑む楓の髪が頬を撫でる
俺は、楓に抱きつきながらいつまでも星空を見つめていた
ー完結ー
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