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きみの背中 3
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「だから、痛くねぇって」
せんせーはさっきよりずっと穏やかに笑い、オレの頭をタオルでわしゃわしゃ掻き回した。
「それより早く髪乾かしてジャージに着替えろよ」
「ないんだよねぇー。今日体育ないからさー」
へらりと笑うと、呆れたようにため息をつかれて、ジャージを上下渡された。
「ありがとー。そこのベットカーテン使っていいでしょ?」
「男同士でなに気持ち悪ぃ気遣いしてんだ」
「男のお着替えシーンなんて見たくもないでしょー?」
受け取ったジャージを持ってカーテンを閉めると、ぺちょ、ぺちょと纏わり付く鬱陶しい服を脱ぎ、身体をもう一度拭いて、着替えを始めた。
降り始めに一応コンビニで靴下を買っておいてよかった。
「せんせー、やっぱりこのジャージおっきいよー」
「お前がひょろひょろなんだよ」
「今流行りの細マッチョなんですぅー」
「マッチョをどっかに落としてきてるぞ。探してこい」
……ほんとに意地悪だな。
でも、いたずらっぽく笑うせんせーに、オレもつられて顔が綻んだ。
「そういえば、お前弓道部に入ってまだ一回も来てねぇだろ」
ふと、思い出したようにせんせーが椅子をくるりと回した。
「あーー、うん」
「うんじゃねぇよ。もう少しで部活動合宿あるから、お前も参加しろよ」
「あははっ。やだよー」
「これは全校生徒絶対参加なんだよ。うちの学校一応部活動力入れてんだから」
いやー、知ってたよ?知ってたけど、サボれるとばかり思ってた。
「エーーーー。いつから?」
「来週の金曜日から二泊三日」
ついガクッと肩を落としてしまう。
よりによって週末。バイト休めるかな?
悩んでいると、センセーがタバコに火をつけながらまじまじと顔を見てきた。
「なに?」
「いや、お前極力一人で行動すんなよ。サボろうとして人気のない所行ったりしたら襲うからな」
こんにゃろ。
前回みたいな希なことはないだろーし、オレだって男だっつの。
つーか、襲うって。
「やだー。せんせーってば男色家ー?きゃー」
「さぁ。試してみるか?」
「ははっオレ男の穴にいれるのなんてまっぴらだなー」
「なんで俺がやられる方なんだよ」
いたずらしてくるせんせーにこちらも笑顔で対応。
さりげなくさっきの冷たい空気を変えてくれていたことに気づかないほど鈍感じゃ無い。
この優しい人と過ごすこの空間はとても好きだ。
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