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合宿 千side
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背中の傷を一人の生徒に見られた。
器用なそいつは俺が突っ込まれたくないことをすぐに察知し、へらりと笑って流してくれた。
けど、そのすぐあと、そっと小さな手が俺の背中に触れ、一言優しい声で「早く治ればいいのにね」と、呟いた。
もう何年も前の傷で、痛くもないし、それは見てわかったはずなのにおかしなことを言う。
振り替えると、そいつが悲しく笑っていたから、不覚にも俺もじんわりと昔の感情が少しだけ込み上げた。
だからと言う訳じゃないけど、前回レイプされかけてたこともあるし、気にかけるようになっていた。
部活の合宿中では、明らかに言い寄られてても、気付かず笑っているし、部長にセクハラされてもセクハラと気付きもせず、へらへらとなかったことにしてたり、なんというか、人の痛みには敏感なのに、自分のことにはひどく鈍感な器用なのか不器用なのかよくわからないやつだと少し呆れた。
夜、なんとなく寝付けれず、外で温かい飲み物を飲んでいると、小さく「あ」と声が聞こえた。
振り替えると、なんとなく不思議と予想はついてたブロンドの髪の生徒。
こいつも寝れなかったらしく、疲れたようにため息をついていた。
昼のことを少したしなめてやり、寒そうにしていたから、上着を貸すと素直に受け取り、部屋に戻っていった。
ふわふわと揺れる髪からはシャンプーの香りがして、あの男の集団の中で寝かせるのを一瞬躊躇ったが、特別扱いも出来ないし、前回のことは稀なことだと、考えを振り払った。
ただそれから合宿の終わる日曜日までなんとなく目を放せずにいた俺もいる。
あいつはあいつで、サボりやすいからか常に俺のそばをうろちょろしていたし、生意気で気ままな猫とかか、犬とかを手懐けた感覚になった。
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