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痛い優しさ 1
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ゆーいちの家で夜ご飯を食べて、バイト先にそのまま向かった。
今日はたしか9時出勤だったから、全然間に合うけど、一度家に帰るよりは早めにバイトに入って、時間まで更衣室で少しでも寝たかった。
あっちでは、二時間以上続けて寝れなかったから、さすがにちょっと眠い。
バイト先について、まずは草薙さんに挨拶にいった。
裏の店長の個室を三回ノックをしそのまま「失礼します」とドアを開けた。
「おはようございます。草薙さん」
「おは…………どうしたの。その傷」
オレの顔を見て固まる草薙さんに苦い笑いを返す。
やっぱり目立つよね。
今日は帰れとか言われたらどうしよう。
「長期の休みを頂いたあとなのにすみません。イギリスでこけちゃいましたー。オレ、客前に立っていいですかねー?バックヤードに回りますか?」
「全然謝ることないよ。全く、真面目だなぁ。
でも、せっかくの綺麗な顔なんだから、気を付けなきゃ」
草薙さんは操作していたタブレットをデスクにおいて、オレの手の包帯がされた右手を握った。
「これ、いたくない?」
ぐっと力を入れられ、少し鈍い痛みが走っただけれど、「全然大丈夫です」と笑ってみせた。
「そう。よかった。じゃあ、今日もカウンターをお願いします」
「はい。よろしくお願いしますー」
そのまま会釈をして出ようとして、手にかけてあった紙袋がカサっと揺れた。
「あ、そーだ。草薙さん、これー。つまらないものですけどー。みなさんでどうぞー」
お土産を手渡すと、草薙さんはありがとうと、受け取ってくれた。
今度こそ、では、と会釈をして個室をあとにした。
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