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優しい手 3
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せんせーがオレを助けてくれたということは、きっと累くんが知らせてくれたわけで。
ということは、無事だったのだろうと、ようやく頭が働きだした。
せんせーに累くんは大丈夫だった?とかなんとなく聞けない。
なんだか、遠回しに累くんのせいにしたような言葉にも感じるから。
自分で考えてわかることは人にいちいち聞かない。
でも、誰かに累くんは大丈夫だったよって言ってオレを安心させてほしい。
胸がもやもや、すかすか、ズキズキ。
なんだか重たい不安がずっとあるような感覚が拭えない。
今日は、なんだか弱っていて思考回路もだめだ。
自分でも情緒不安定だと思う。
このホットミルク飲み終わったら帰ろう。これ以上迷惑はかけれないし。
「情緒不安定だな。さっきまで笑ってたのに、もう色々考えてんだろ」
まさに今思っていたことを言われ、「えー?」と惚けて顔をあげる。
絶対今はオレは顔に出てなかった。
この人本当に人の感情に敏感だなと思う。
「なにがー?」
笑って首をかしげると、せんせーは短くため息をついた。
「色々あって疲れただろ。食欲ねぇなら飯はもういいからソレ飲んだら薬のんでもう少し寝てろ」
風邪薬を渡され、思わず苦笑してしまう。
「せんせー、オレ今度こそ本当にもう帰るよー」
そう言うと、面倒そうにせんせーが顔をしかめる。
養護教諭の立場的に、学校で厄介事に巻き込まれた上に熱でフラフラの生徒をそのままにはできないのだろう。
「大丈夫だよ。めんどくせーことにはならないから」
せんせーの口調を真似てみる。
とにかく今はもうほっといてほしい。
この人の側は居心地がよすぎて、距離感が掴めなくなるから。
「オレはね、せんせーのこと好きだしそばにいたいけど、迷惑かけたい訳じゃないし、自分のことは自分で解決できるから」
そう言いきると、今度こそしっかり起き上がって、ベットからおりた。
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