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november.12.2017 幸せな一大事 その3
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「すずさん、日曜の夜空いてます?できれば章吾さんと一緒がいいんだけど」
エゾシカラグーパスタで満腹。幸せ気分で会計をしていたら実巳くんがキャッシャーまでやってきてそんなことを言った。日曜?私も章吾の出張は入っていない。
「17:30くらいに。料理は2000円のお任せを用意するけど、足りなかったらいつものように頼んでくれても対応できます」
「あれ?日曜日ってお休みだったよね?」
「ええ、休みは休みなんだけど。急きょ一組予約がはいったもんで」
「あら~せっかくの連休なのに」
「休みより大事なことなんですよ」
なんだろう。このムズムズした感じ。何かの企みの匂いがプンプンする。私と章吾がそれに協力できる人員として選ばれたってことよね。それはもう絶対に来るべき!こんなチャンス滅多にない。
「夜なら章吾が休日出勤でもどうにかなるだろうし。喜んでお伺いするわ。でも少しくらいヒントをくれてもいいよね」
「ですよね~」
実巳君はフニャっと笑ったあと私の耳元に顔を寄せた。横目でみるとカウンターのおひとり様軍団から厳しい視線がビシビシ飛んでくる。飯塚君派の人達まで睨まないでほしいわ。でもちょっと優越感。あなたたちとは来店歴が違いすぎるのよ!オホホホホ!と言ってやりたい(私も歳をとったのね。こんなこと考えるなんて)
「それで?日曜日何があるの?」
実巳君の小声がくすぐったい。お父さんの代から通い詰めている役得ね。あとで章吾に自慢しちゃおうっと。
……え。‥‥…え。えええええ!!!私は心の中で大声を張り上げた。「大様の耳はロバの耳!」みたいに店内に響き渡る声で叫びたかったのが本音。
「ほんと?」
「ええ、ですからサクラお願いします」
「まかせて実巳君。どんなことしても来るよ!楽しみすぎるわ」
私は実巳君とがっちり握手を交わす。私の右手の上に実巳君が左手を重ねたものだから、カウンターからの視線は飛び道具並みの威力だった。
一段と優越感に浸りながら店を後にする。今日の午後はMAXエネルギーで仕事ができそうだわ。バリバリ案件をこなして早めに家に帰ろう。章吾に報告しなくっちゃ!!!
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