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August 9.2015 新人現る
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「御所望のブツを届けにきたぞ。」
おじさんがやってきた・・・ブツを従えて。
背が高くて色白で細面の男子、黒縁眼鏡がよくお似合いです。
カラーリング一切ゼロのTHE日本人ですの黒髪。サラサラとしていて触ると気持ちよさそうだし、妙に清潔感があって柔らかい雰囲気。
なかなかバラエティーに富んでいるSABUROの面々でも、このタイプはいなかった。
「ミツ、これが俺の甥っ子みたいなヤツ、村崎実巳、この店のオーナーでありシェフだ。」
「よろしくお願いします。重光稔明です。」
うわ、なんだかありがたい感じのお名前じゃないの。光って明るい、五穀豊穣で実りまくって重いぞ~な。
「作家志望で、とにかく色々な職を経験済み。飲食も職歴にはあるし、この店にはないタイプの男だろ?
今のところは、しょぼい風俗の記事を嫌々書いてる程度だから時間はたっぷりある。シフト組み放題、勤務し放題。」
ほんと、おじさんはいったいどこでこういうのを見つけてくるんだろう、不思議すぎるよね。
でもそのおかげで、当初考えていたよりもずっと環境が整ったし、色々なアイデアが生まれて楽しくなってきたところだ。
サトルがくるまであと3ケ月あるし、年末年始を乗り切るにもスタッフを調達するのは必須だった。
おじさん的にも企画に準ずる人員が必要だったらしいし、で、この人は基準を満たしているというわけね。
「おじさんのお墨付きなら大丈夫だと思うんだけどさ。今日一日働いてみてくれる?
お互いに合う合わないとかあるだろうし。来春卒業したら正式メンバーになるスタッフがいるんで、色々教わってくれるかな。」
「わかりました、頑張ります。」
かくして新規メンバーが投入されました。
世の中ボーナスで浮かれていたのは先月。盆を控えて帰省する人、逆に帰省してくる人を迎える人、イベント事を控えた前は財布の紐が固くなる。それに飲食にとって恐怖の「にっぱち」次期だ。
(2月と8月は何やっても売上落ちるよね~の合言葉がニッパチ)
込み合ってシッチャかメッチャカになることがないので、新人君にもちょうどいい。
ハルはあの日曜日を境に取り組み方が変わった。
料理の特徴や作り方を質問してくるようになったし、鍋に残ったソースをスプーンですくって味を確かめたりなんてこともする。
なんでもサトルに「シェフとお客さんの橋渡し役」と言われたことが大きく響いたらしい。
最近は仕事の優先順位が明確になってきたし、けっこう任せて安心だ。
シゲミツ君を使いこなしてくれたまえ。
ヨロシク!
蓋を開けてみれば・・・。
有難い名前同様、これがなかなか優秀な眼鏡男子でございました。ハルが軽く凹んでしまうほどに。
「ハルさん、本当にわかりやすくアドバイスしてくれて助かりました。」
「いいえ。デキる人はやっぱりすごいんだなって。僕はいつまでたってもペーペーです。」
本気で言っているシゲミツ君、ぜんぜん嫌味がない。それはハルもわかったみたい。
「僕もっと頑張らなくちゃですね。」
「いやいや僕は30歳こえてますから。お客さんになった回数も、逆の立場もハルさんより多いだけです。単に経験値の違いですよ。お客さん、乱暴な人も失礼な人もいなかったので助かりました。それにこのお店はホッとする。」
「ですよね~。僕もここが大好きです。
あとシゲミツさん。ハルさんって、なんかしっくりきません。僕年下ですよ?」
「んん~。かわいいからハルちゃんでもいいけど、それだと違いますよね。かわいこちゃんだと舐めたら反撃に合いそうですしね、うん、やっぱりハルさんで。」
なんだかしらんが、仲良しじゃないの。
ハルって呼ぶのは俺だけなんで~~す。(何張り合ってんだか・・・俺ってば子供?)
さてと・・・このシゲミツトシアキさん、もっと呼びやすい名前にしましょうね。
サトル、ハル、ミネ・・・飯塚。あいつだけは飯塚でいいな。だって下の名前「衛」まもり君ですよ。
鉄仮面かぶって護衛にあたります!な感じがピッタリといえばそうなんだけど、マモリ~とかね、呼びにくい。下の名前だと「マモリ」「マモ」「モリ」「マー」・・・やっぱ飯塚が一番しっくりくる。
シゲ・・ミツ(おじさんはミツって呼んでた)
トシ・・・アキ
ひらめいた!!
「シゲミツさんって固っ苦しいし、見た目のソフト感とイケてる感が薄れるので、今ひらめきました!
トシ・アキの頭をとって「トア」ってのどう?」
「トア・・・漫画やゲームにでてきそうですね、素敵じゃないですか。トアさん、トアさん。」
(連呼しなくていいよ、ハル・・・。)
「ペンネームでもいけそうですね!今までそんな風に呼ばれたことないですから新鮮です。」
「俺もずっと、実巳とかムラとか言われてきたから、サトルに「ミネ」って呼ばれた時そう思った。
じゃあトア、宜しくって言っていいかな?俺としては働いてほしいんだけど。」
ぴょんと背筋を伸ばして「きをつけ」ポーズを取った後、しっかりと頭を下げた。
「こちらこそ、宜しくお願いします!」
眼鏡男子トア君(ちょい年上さんですが)
これまたなかなかよい素材をゲット!
暗黒の12月に向けて備えができたぜ~い。
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