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september 3.2015 さて、今日は何の日? 前篇
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『武本、明日と明後日風邪をひけ。』
会社をでて地下鉄駅まで歩いている途中、課長からの電話にでれば何を言い出すのですか状態。
相変わらず突拍子もないけれど無駄なことはしない人だ。理由があるに違いない。
「ええと、その意図は。」
『まずは武本のオーバーワーク。ちょいと疲れて気だるい感じがいいと草野が涎をたらしていたぞ。あまりクライアントを興奮させるな。
ま、これはオマケみたいなもんで、若造二人のケツを叩く。』
「あの捨て仔犬コンビですか。」
『そうだ。武本がいなくなると言う意味をまるで理解していない。最近は甘える事ばっかり考えているだろう?飯塚がいなくなっても武本がいたし、当然俺だってフォローしまくった。しかしだ・・・武本がいなくなって、その先統合が日の目をみれば俺だって総務に異動だぞ?
あいつら自分で面倒みられないと大変なことになる。』
確かに…だ。
甘ったれコンビは何か言うと「もうすぐ居なくなるじゃないですか~少しぐらい面倒みてくださいよ!俺達を捨てるんですよ、武本さん!」とかなんとかいって纏わりつく。ウザったい事この上なしだ。
なるほどね、2日病欠して現実を実感させろってことですか。
「俺はまったく問題ありません。素敵に休みを使います!」
『病欠の連絡はいらないぞ。俺が明日まわしておくから。』
こうして突然お休みができた俺は、飯塚の所にいくことを考えた・・・がやめた。
家を片付けることを優先したからだ。休みの日、SABUROに行っているせいで引っ越しが遅々として進んでいない。飯塚がせっせと選別した荷物を運んでくれているが、その梱包が追いついていないという申し訳ない状態。
うし、ガリっと荷造りをしてやろうじゃないの!
◇◆
皆が仕事にいく支度をしている時間にボケボケしているってのは最高に贅沢な気分だ。
8:00過ぎのテレビなんか毎朝見ていないもんな。そう思ってニュースのあとの連続テレビ小説なるドラマを見てみたが・・・さっぱりわからなかった。
能登弁ってこんな言葉なのか、それだけが収穫といえば収穫。しかし使いどころは絶対にないだろう。他のチャンネルを見てみたが情報バラエティー的なものばかり。CSもこの時間はショッピング番組が多いし、それこそ俺は今日TV鑑賞で時間を潰している場合ではないのだ。
さてと・・・。
すでに台所は空っぽだ。炊飯器とトースターをダンボールにいれて、申し訳程度の食器をエアパッキンで包んで仕舞って終了。
シンクを磨いて床を拭く。引っ越し後は清掃が入るけれど、あまりひどい状態で引き渡したくはない。水回りも全部やっつけてしまおうか、そう考えるに及び自分の部屋を改めて見直す。
<服>
スーツが3着と付随するシャツ&ネクタイしかない。普段着が3パターンほど。あとは下着と靴下。
飯塚の所で用意されている俺の部屋は6帖でウォークインクローゼットが備わっている。
大部分はそこに運ばれ済。
<家電>
冷蔵庫の電気はついているけれど、水くらいしか入っていない。冷凍庫には炊いたごはんだけ。
洗濯機は処分予定、ステック型の掃除機もいらないな、吸い込み悪いし。
TVはあったほうがいいから持っていくつもりだ。ビデオデッキも同様。
PCはノートなので移動の心配無用。
<家具>
カラーボックスとベッド程度。
しばし腕を組んで考える。これってやる気になったら移動可能ではないか?
さっそくネットで検索して不用品を引き取ってくれる業者を調べて3社に問い合わせた。
午後にいけるという会社に決めてお願いした。
飯塚が一緒に住もうと言ってくれた日から、俺はコツコツ持ち物の選別をしていたのだ。カラーボックスに突っ込まれている雑誌たちも思い切って捨てた。いつか読み返すかもしれない、そんな気持ちでとっておいたけれど、一度も読み返していないのが現実。巡回している廃品回収に引き取ってもらった。
あとは服。本当に気に入っているネクタイを5本、飯塚にもらったシャツとスーツ3着を残して、ネクタイは石川達におさがりにした。
ダンボール2箱分のTシャツやシーツなどの綿物も捨てた。これは父親が古くなった衣類を小さく切って店の掃除に使っていたからだ。なんとなく武本家は古くなった衣類はしまっておいて雑巾にするのだ。だから一人暮らしをはじめてもそれが抜けきらず仕舞ってあったわけだが、これを送料かけて送るのか?と考えたら馬鹿らしくなった。今はよし兄の店から劣化したタオル類が供給されているだろうから俺のお古など必要なし!ということでこれも捨てた。
思うに、考えひとつで残してあるものも思い切ればゴミでしかないってことだ。
意外と不必要な物品にスペースを譲って暮らしているのは、変な話だよなと思う。
引っ越しはいい切っ掛けだ。思っていた以上の不用品から解放されて、スッキリ、スッキリ。
あとは猛烈に掃除&さらなる選別&梱包にとりかかる。予定通り水回りからはじめて、最終的に玄関にたどりついたあたりで昼になった。
いったん家をでてレンタカーでハイエースを借りて、移動させる荷物をかたっぱしから積み込んだ。ベッドもバラせば何の問題もなく積み込めたし、ゴミも引き取ってくれるらしいから全部処分してもらおう。
やる気になればこんなもんさ!と妙にすがすがしい気分になり、最後に掃除機をかけてクイックルワイパーでさっと床拭きをして終了。
ガランとしたフローリングに立っていると不思議な気分になる。
俺、飯塚と一緒に住むんだな・・・と実感(ピンクな気分を体感。色ボケオーラに男女の差はなし!)
あとは事務手続きをサクサクする。
不動産に退室することを告げ半月分を日割りにしてもらう交渉をした。中日退室扱いでOKとなり、清掃や諸経費、敷金返金の口座手続き書類などモロモロ済ませる。
あとは・・・銀行と、カード会社はネットで住変。あと郵便局にも住変と転送手続きがいる。
おっと忘れていた、スカパーも。飯塚と視聴料折半になるのかな。なんだか照れる。
ネットは解約した、ポートは送り返すだけだから楽ちんだ。
というかいちいち住変の度に飯塚の住所を連呼している自分が恥ずかしい。
いや・・・なんだか、そのね・・・恥ずかしいんだよ!
午後は引き払った荷物を収めるところに収め、ベッドを組み立てTVを繋げる。夜8:00をすぎてようやく落ち着いたのでコンビニに行ってビールを買った。
このコンビニは正明と出逢った店だ。今は一緒に働く仲間で、俺の大事な友達。
そして飯塚の行きつけであるコンビニが俺の行きつけになる。
なんだか不思議で、やっぱり少し恥ずかしい。
ビール片手に自分のベッドに転がってTVを見ていると、あんまり今までと変わらないなと思ってしまった。ワンルームの部屋ごと移ってきました~な感じだ。
9/3がお引越し日、同居記念日ということになる。
うわ・・・記念日とか言っちゃって、俺は乙女ちゃんかよ!
ついでに有名人の誕生日とか事件があった日とか、調べてみるか・・・。
9/3は何の日でしょう。
みつけた・・・なんだ・・・これは。
すさまじいゴロあわせといい、こんなにも認知度の低い「○○の日」
素敵な「○○の日」であってほしかったが期待は裏切られた。
腹減った・・・飯塚、早く帰ってきてくれ。
あとはひたすら飯塚の帰りを待つばかり!
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