アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
may.2.2016 12:46 理
-
「おはようございます。」
ここは店じゃないって。馬鹿丁寧な二人が大荷物を抱えて到着した。
「残りを持ってきます。」
トアはそう言ってまたすぐに出て行った。正明が重そうに大きな段ボールを抱えてキッチンに行く。
ターキーってそんなデカイの?
ふう~と息をついてダンボールをシンク横にのせた。早く開けよう、開けよう、中身が気になる!
正明は大きなタッパーを取り出した。
「それはなに?」
「朝ごはんの常備菜です。今日ミネさんと作る時間がないので、ターキーの焼き番しながら作りました。」
「見せて。どんなの作ったの?」
パカっと開けられたタッパーには厚揚げの煮ものが入っていた。手を伸ばしたらペシっとされる。いいじゃないか一つくらい。
「理さん、人の指にはバイキンが一杯なのです。それをここに突っ込んだら傷みが早くなります。いい味つけで作られた料理は腐りにくいのですが、今回は僕が一人で作ったので自信がありません。ミネさんが作るより消費期限が短い気がするのに、指なんか入れたら危険度が増します。」
そう言いながら食器棚から小皿をだして一つのせてくれた。箸と小皿を受け取り迷わず口に入れる。
「うま!正明すごい、これ何?ゴマ?うわ~~これと白いごはんとの組み合わせ最高だよ。」
「美味しいですか。よかったです。ミネさんがひくより出汁が薄かったので深みがないのが残念で。」
「深み?充分深いと思うけど。」
「まだまだです。」
正明はタッパーの蓋をしめて、冷蔵庫にしまってしまった。他のタッパーの中身は味見させてくれなかった!じとーっと正明の顔を見ていたら「白ワイン冷蔵庫にいれてください。」と返された。ちぇっ!
玄関の開く音が聞こえてビニール袋をガサガサさせながらトアがキッチンにやってきた。500缶の6本パックを両手に下げている。
「6本パックを6個です。一人1パック以上なので足りますよね。」
「大丈夫じゃないかな。俺と衛はワインに切り替えるし。」
デキャンタを持ってきたかったけど移動中に割れてしまうかもしれないので止めた。少しはましになるだろう、赤ワインの栓をかたっぱしから抜く。
「理さん・・・何本飲むつもりですか・・・。」
「ん?俺と衛で4本はいける。」
「さっきから、「俺と衛」ばっかり言ってますね。今日の主役はミネさんですよ!」
正明はビシっと俺に指をさしながら言った。いや・・・それはわかっているけどさ。
「ちゃんとわかってるって。」
「ですよね~~。飯塚さん、クランベリーソースを作るみたいですけど、理さんが好きそうな味だって。僕はグレイビーソースというのを食べてみたかったのですが・・・僕の好みは聞いてくれませんでした。
たぶんミネさんにもリサーチしてませんよ、きっと。」
やや呆れ顔のトアがそんなことを言うから、俺と衛がどこぞのバカップルみたいに感じて反省する。
でも、しょうがないじゃないか。俺の時間の大部分は衛と一緒にいることなんだし、衛・衛言ってしまうのは・・・皆に諦めてもらおうと開き直る。
それにしてもクランベリーってなんだろう。ベリー?苺系?鶏肉に果物?
「クランベリーソースはターキーをオーブンに入れた後、飯塚さん作ってくれました。これは器に移した方がいいですね。あ、そうだトアさん、たぶん必要だと思って持ってきました。」
「なにをですか?」
「ターキーの焼いた時にでた汁です。グレイビーソースに必要みたいなんですよね。検索したので間違いないです。飯塚さんにグレイビーソースも作ってもらいましょう。」
「うおおお~~ハルさん素敵すぎます!ナイスです!」
スマホが鳴ってメール着信。確認すると衛からだった。
「今地下鉄のったって!準備終わらせないと。」
「じゃあ、僕はターキーの盛り付けします!トアさん、早く作らないとミネさん帰ってきちゃいますよ。」
「ですね、調理道具お借りします。」
「理さんは食器棚からグラスだしてください。あと取り皿も。引出しに割り箸入ってますから出してください。カトラリー関係はその隣の引き出しです。入用なものは理さんの選択でお願いします。サーバーは店から持ってきました。あとサーブするナイフもあります。」
仕切るのは俺だったはずなのに、正明にテキパキ言われて動くしかない俺。
ミネが帰ってくるまえに場を整えるべく3人は慌ただしく動き出した。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
228 / 474