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june.6.2016 ハニーマスタード3本勝負 その1
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「翔~運動会いけなくてすいませんでした。」
「しょうがないよ、とっちゃんお仕事だったでしょ?」
「そうなのです、お仕事でした。」
翔は昨日運動会だったので今日はお休みです。運動会に行けなかった僕はお詫びのケーキとともに実家に来て翔の可愛さを盛大に補給中。
ううう・・・癒される。
「翔、ケーキはお昼が終わってからね。」
「えええ~、じゃあもうお昼にする!」
あああ・・・可愛すぎる、可愛すぎる!!
義姉さんはあきれ顔だけど、愛情たっぷりの笑顔です。いいですよね、こういうの。僕にもこんなお嫁さんがやってこないだろうか。ギブミーお嫁さん!くだらないこと考えると虚しくなりませんか?僕はいま虚しい君です。
「とっちゃんのがいい!」
「僕のなに?」
義姉さんが翔の頭を撫ぜながら言う。
「翔、「とっちゃんの」に名前つけたでしょう。」
翔はぴょんぴょん飛び上がって元気よく言いました。
「ギョニケチャ!!!」
おおお~どうやら「とっちゃんの」は魚肉ソーセージケチャップ炒めのことらしいです。翔がこうやって少しずつ大きくなって色々なことを覚えたり口にするのは単純に嬉しい。そして驚き。
どんどん大きくなっていく・・・それがとても楽しみです。
「ギョニケチャ、一緒に食べようね。」
「うん!」
「義姉さん、あともう一品作ってもいいでしょうか。レシピを教えてもらったので。材料持参です。」
「そうなの?それは嬉しいわ。じゃあ私はごはんものを担当しようかな。」
「お母さん!オムライス!」
「ケチャップ味ばっかりね。」
「ケチャップ大好き!!」
翔はずっとぴょんぴょんしています。それに元気です。パワフルで、さっきからタックルやら単純に飛んできたりを繰り返して僕の体力を削っている。
でも可愛いのでお咎めなしです。
「稔明さん、何を作ってくれるのかしら。」
「じゃがいもとベーコンのハニーマスタードです。」
「とちゃん!僕ベーコン好き!」
「じゃあ、たくさん入れましょう。」
「やった!!」
材料とともにキッチンへ。飯塚さんが教えてくれたレシピを僕なりに簡略化してみました。飯塚さんは理さんに食べさせるというモチベーションがありますが、僕は基本自分が相手です。そうなると簡単で美味しいほうがいいわけですから勝手に変えてしましました。
サツドラで買った冷凍フライドポテトを使います。あ、サツドラっていうのは「サッポロドラックストア」のことです。札幌でドラックストアといえば「サツドラ」と「ツルハ」ですね。ローカル情報ですいません。
「ポテトフライを使うのね。」
「本当は生の芋を油で揚げるのですが、僕は揚げ物をしたくないので変えちゃいました。」
「わかるわ。揚げ物って色々面倒よね。」
「代用でもそれなりにってことでこれを使います。」
ジャーンと取り出したのはスプレー型のオリーブオイル。僕の一人暮らしにはかかせない一本です。
「スプレーの?前に買ったのは使いにくくてもう買わないって決めたのよね。」
「そうなんですか?これは結構いい感じですよ。コストコで売っています。」
「稔明さんコストコ行くの?」
「お店の人が行くので、その時に買ってもらいます。」
「へえ。」
オーブントースターの皿にアルミホイルを敷いてポテトを並べます。ちなみにこのフライドポテトはハインツ社のナチュラルカット仕様です。大きさもばらつきがありますが、それが文字通りナチュラルカットといえましょう。
ポテトにスプレーで油を吹き付けてから焼きます。インスタント揚げ物がこれでできあがるというわけ。
へへん、我ながらナイスな発明です。
「ベーコンはじっくり炒めて、玉ねぎもいれますね。塩コショウをしっかり目にします。味付けは粒マスタードとはちみつ。はちみつは少量の水でのばしたほうがいいようです。翔が食べるから粒マスタードは控えめにしますか。」
「マスタード好き!」
「ええ~?」
「ソーセージにつけるのすき!ケチャップとまぜるの好き!」
義姉さんはちょっと苦笑い。
「買ってもすぐなくなっちゃうの。」
「あ~じゃあ、今度大瓶持ってきます。業務用を頼みます。」
「助かるわ。」
焼きあがったフライドポテトをカリカリベーコンとおいしそうに火が通った玉ねぎと合体。全体を混ぜて、マスタード+はちみつ液を入れます。
ジョワ~~~
あとは全体になじめばできあがり!
「いい匂い!とちゃん美味しそう!」
「ギョニケチャつくっちゃいます。じゃあ、翔はこれをテーブルに運んでください。」
「は~~い。」
「稔明さんがいるとお利口さんになるのよね。もっと来てくれないかしら。」
「そうですね、もっと来ます。ちゃんと見ていないと翔がどんどん大きくなってしまいます。」
「いつくまでとっちゃんって言うのかしら。そのうちオジサンって言われるかもよ?」
「えええ~それはイヤです、オジサンはイヤです。」
義姉さんと笑いながらフライパンをふる。こうやって誰かと並んで台所に立つのはホンワカします。一人で自分のために作るよりずっと楽しい。
僕の隣に立つ存在・・・。
そんな人が欲しい。そんな風に感じたのは初めてかもしれない。彼女ができません、結婚できる気がしませんって自分が望んでいなかったからじゃないのか?
翔みたいに元気な子供がいて
義姉さんみたいに優しい人が横にいる
そっか・・・こういうことなんだ。
もう少しちゃんと人のことを見たほうがいいのかもしれない。僕の隣に立つ誰かをみつけるのなら、もっと人に興味を持たなくてはいけない。
僕にとっての誰かに会った時にわかるように。
明日からそう心がけよう。
その人がみつかったら、一緒にハニーマスタードを作ることにしよう!
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