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I didn't mean it…4
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「じゃあ僕、仕事行くね」
「うん、行ってらっしゃい」
「皐月くん……無理させちゃってごめん。またそのうち」
達哉さんはそう言って翌朝仕事に向かった。
女子はよく「男はスーツを着ると三割増しでかっこよく見える」と言うが、まさにその通りだと思う。
達哉さんも例外なく、スーツが本当によく似合っている。
元々細身のくせに筋肉はしっかりついているから、余計に男らしさが際立つのだろう。
筋肉のつきにくい俺からすれば、本当に羨ましい限りだ。
俺が着ると、どうしても借りてきた衣装のようでいけない。
なんて物思いに耽っていると、手元のスマホが震える。
着信は親友の松島からだった。
大学から特に呼び出されるようなことはないはずだけど……。
「はい、もしもし?」
「ああ皐月、お前単位も卒論も終わってるからって引きこもりは良くないぞ~?」
「別に引きこもってるわけじゃないし」
松島は俺がバイと知りながら、普通に接してくれる理解ある友人の一人だ。
成績は……あまり芳しくないらしいが聞くところによると、残すは卒論だけになったようで、ちょくちょく大学の図書館で資料集めをしてるらしい。
「ああそうだ、今日の昼過ぎにお前の好きなのが入るらしいと聞いたんだよ!」
「え、マジ!?」
松島の発言に思わず声を荒げた。
うちの図書館は新作の入荷が早く、特に卒業生である作家の本は発売日翌日には入荷されている。
だが大学を開けた場所にしようという校風があり、許可さえ取れば一般人でも利用できるシステムのおかげで貸し出しの競争率が高い。
そんなに好きなら買えば良いとも言われるが、一人暮らしの部屋に何冊もハードカバーを置いておくスペースはほぼ皆無。
それに生活費優先の生活では、なかなか買えるものではなかった。
読書はセックスと料理に次いで、その世界に没頭できるツールの一つ。
今回の作品は特に発売前から話題になっていて、早めに読んでみたいと思っていたのだ。
「じゃあ、ちょっと早めに図書館行ってみるわ。教えてくれてさんきゅな!」
「いえいえ!持つべきモノは親友だねえ!気をつけて来いよ~」
本当は二度寝するはずだったけど、その本の為だけに、大学へと足を伸ばすことにした。
どうせやることなんてないわけだし、たまには大学生らしい過ごし方も悪くない。
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