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It's too good to be true…5
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まず頭の中を整理しよう。
皆月ユキの新刊を借りに来たら好みの男(北山さん)と出会った。
その後情報収集し、偶然を装って近付く……予定が何故か気付かれる。
そして喫茶店でお茶してる←イマココ
どうしてこうなった……。
いや、元々お近づきになる予定だったから結果オーライ?
というか色々落ち着かないのはこの店の所為だよな。
俺が行くようなスタバとかドトールとかそういうんじゃなくて、何かこう……敷居が高い感じの店だし。
見たところ使ってる食器は全部アンティークや有名どころの高級な食器。
店内の内装も凝ってて、むしろ大学の近くにこんな店があること自体、知らなかったぐらいだ。
狭い店内には俺らくらいしか客はおらず、店内には少し古めのジャズがかかっている。
「無理矢理連れ出してしまってすまない」
運ばれてきたばかりの珈琲を一口飲んでから、北山さんがまた謝罪した。
「いや、別に気にしてないんでお気遣いなく……」
「この間本を譲ってくれただろう?」
「あ……えっと……」
「すまなかった」
大企業の社長さんが一介の大学生に何度も謝罪するって……別にそんなたいしたことじゃないのにそこまで気にすることなのか?
それとも誰にも借りは作りたくない、とか?
どちらにせよこのまま相手のペースに飲まれるのは本意じゃないな。
俺は急遽作戦を変えることに決めた。
「あー、取り敢えず自己紹介しません?お互い名前も何にも知らないし」
ねっ、と俺は特上の笑顔(営業スマイルとも言う)を向けると北山さんの瞳が少しだけ揺らいだ。
ほんと、綺麗な目。
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