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See what happens…7
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壊れ物でも扱うような、でもどこか怯えるようなキスは昨夜の出来事を如実に思い出させる。
俺、葛岡くんに口説かれた……んだよな?
でも30代も半ばに差し掛かった俺と恋愛しましょうだなんて何度考えたって絶対におかしい。
報われない恋愛を続けるか、ただ愛されるだけの恋愛を始めるか。
言葉にしてしまえば簡単だけど、実際に行動に移すのは至難の業だ。
どちらが幸せかは当事者でなければわからない上、どのみち多かれ少なかれ痛みが伴う。
そもそも相手に何も返せないかもしれないのに、本当に甘えていいのかなんて分かるわけ無い。
それにこの問題は、いまだ酒気帯び状態かつ、寝起きの頭で考えるのには些か難しい問題だった。
「本当に、夢じゃない……」
「何が?」
「和泉さんが僕の部屋にいて無防備に寝顔を晒して僕の淹れた珈琲を飲んでしかも美味しいって言ってくれてさらには僕のことを考えてくれてるなんて……こんな日が来るなんて夢にも思わなかったのでちょっと感動してしまいました」
目の前で息継ぎもなく滑らかに俺を語る葛岡くんは、いつもバーで笑顔を振りまいているあの葛岡くんなのか、一瞬疑ってしまう。
いつももしかして俺より年上?と思うような発言や仕草が多いだけに、そのギャップが大きすぎて面食らった、というのが正しいのかもしれないが。
そして俺がポカンとしているところで更に追撃が始まる。
「……昨日のことですが、出来るだけ僕、和泉さんの気持ちを尊重したいと思ってます!」
昨日のこと?
何処からどこまでのことだ?
ぼんやりとした昨夜の記憶は曖昧で、何を言ったかはあまり正確に覚えてないんだけど……。
「僕、和泉さんにちゃんと恋してもらえるように頑張ります。そのためにも今まで以上にアタックして、恋人になった暁には絶対に後悔させないようにします!だから和泉さん」
ぐい、とまた距離を縮められる。
ピントが合わないほど顔を近付けられてしまえば、本当に逃げ場はない。
「これからは全力で貴方を口説きますので逃げないでくださいね?」
逃げたら逃げたで全力で追っかけてきそうな奴が何を言うかと思ったけど、声に出せなかった。
葛岡くんが俺の唇を問答無用で塞いでしまったからだ。
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