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アキは僕を部屋の中に入れてスト一ブに火をつける。
二人とも無言だった。
僕は伝えたいことがあってここに来たというのに、目的を忘れるほどに感情が暴れていて上手くいかない。ずっと心に押し込めておいたはずなのに、アキの顔をみただけで僕の心は揺れている。
このどす黒い感情は沈めたはずなのに、簡単に顔をだす。
こんなに自分が嫉妬にしばられる人間だったとは思わなかった。
アキは僕をスト一ブの前に座らせ、隣の部屋に行ってしまった。
着替えをすませて台所でお湯を沸かしている。お茶やコ一ヒ一も冷えた体には嬉しいけれど、今僕はもっと強いものが欲しかった。
「コ一ヒ一がいいか?俺は寒いからタンカレ一を飲むことにする。いっとくけどNo.10のほうだからな」
「タンカレ一がいい」
ロックだった。きついけれど爽やかな甘みのある液体がのどを降りていく。
すこし落ち着いた。
些細なことで取り乱していたら、本当に伝えたいことが話せなくなる。取り乱しちゃいけない。
部屋が暖まってきた。さっきより落ち着いてきた僕はアキを試すようなお願いをする。
「僕も着替えたいな。何か貸してくれる?」
「話が先だ」といわれたら、今日はもう帰ろうと思った。
アキは何も言わず、着替えをだしてくれた。
前にもこんなことがあった・・・。東京に行こうかどうしようか言えなかった夜
今日僕はちゃんと話せるだろうか?
願いが叶わなかったとき、僕は耐えられるだろうか?
叶わなかったら・・・・。僕は泣きそうになる。堪えたから変な顔になっただろう。
アキの目が細められる
僕が疎ましい?そうだろうねアキ。逆の立場だったらそう思うはずだ。
着替えて座り、どこから話を切り出そうか考える。
これ以上立場が悪くなりようがない、ここまできたんだ
「あき、僕はね、疲れちゃったんだ」
僕は目を閉じたまま、ようやく口を開いた
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