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お泊り 11
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リビングに入ると、とてもいい匂いがした。牧野は普段、定食ばっかり食べている。だから、昼食も和食とだと思っていた。
「牧野、もしかして……」
「ああ……」
そこからしたのは、卵とケチャップの匂い。
「日坂、いつもランチばかり食べていただろう? だから、オムライスを作ってみた。生憎、洋食は作り慣れない。これが精一杯だ、許せ。」
「牧野……」
照れているのか、俯いている牧野の耳は真っ赤だった。
俺のことを考えて作ってくれた、恋人の料理か、いいな。
「何をボウっと突っ立っている。早くそこに座れ。」
牧野は、いつの間にか無表情に戻って席に着いていた。俺も焦って、指定された椅子に座る。牧野と二人、向かい合ってオムライスを食べる日が来るなんて、夢にも思わなかったな。
二人で、いただきますをして食べるオムライス。卵は若干甘め。
「……味は、大丈夫か?」
一口目を頬張っているときに、心配そうに訊かれた。そんなに心配しなくても、大丈夫だと思うんだけどな。
「すごく、美味しいよ。」
俺がそう言うと、頬を紅潮させて少し困った顔をした。
「どうした? 牧野。」
「……。」
困らせてしまっただろうか?
「俺、何か困らせるようなこと、言った?」
だんだん不安になった俺は、顔を覗き込みながらそう言う。その瞬間、目を逸らされる。
「いや、手料理を食べてもらったのは、お前が初めてだったから……なんて言えばいいのかよくは分からないのだが……その、うれ…嬉しい。」
「!」
こんなに照れている牧野は、今までに見たことが無かった。
神様、ありがとう!!
微笑ましい気持ちになった俺は、くすりと笑って言ってやった。
「知ってっか? 牧野。」
「?」
「恋人にオムライスを作るときは、ケチャップでLOVEって書いて置くもんなんだぜ?」
「……。」
ぽかんと口を開いて、目の前にあったケチャップを見つめる牧野。
そして、手に取って……
お?
もしや、書いてくれるのか?
「貸せ。」
俺の皿をとって、何かをケチャップで書かれる。
「ほら、お前にはこれがお似合いだ。」
「えー!!! ひどいよ牧野ー!!」
「悔しかったら、俺にかっこいい姿を見せてみろ。」
”ばーか”
不器用にケチャップでそう書かれたオムライスは、最高に美味しかった。
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